住宅を購入するときは、物件の購入費用に加えて不動産会社や金融機関に支払う諸費用も準備する必要があります。
諸費用は高額であるため、不動産購入の資金計画を立てるときは、諸費用の金額や支払うタイミングの把握しておかなければなりません。
そこで今回は、住宅ローンを組んで、初めて中古戸建てや中古マンションを購入する方に、不動産購入時に支払いが必要な諸費用の種類と金額の目安を解説します。不動産購入に失敗したくないと思っている方は、ぜひご一読ください。
- 不動産購入時にかかる諸費用の種類
- 諸費用の目安
- 諸費用の負担を抑える方法
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
不動産の購入時に必要な諸費用の内訳
不動産購入時にかかる諸費用の内訳は、以下の9つです。
- 登記費用
- 収入印紙
- 火災保険・地震保険の保険料
- 事務手数料
- 保証料
- 固定資産税・管理費等清算金
- 仲介手数料
- ローン代行事務手数料
- 不動産取得税
それぞれについて、確認していきましょう。
①登記費用
登記費用とは、不動産登記の際に支払いが必要な登録免許税や、手続きを依頼する司法書士に支払う報酬です。
費用 | ・登録免許税:土地や建物の評価額によって異なる ・司法書士報酬:相場は10万~20万円 |
支払先 | ・登録免許税:国 ・司法書士報酬:司法書士 |
支払時期 | 所有権の移転時(決済時) |
不動産登記をしなければ、購入した住宅が自分の所有物であると主張できません。不動産登記をすると、登記簿謄本に不動産を所有している人の名前が記載され、誰でも閲覧できる状態となります。
不動産登記は、司法書士に依頼しなくても購入者自身が行えます。しかし住宅ローンを組む場合の抵当権の設定登記には、専門的な知識が必要です。そのため司法書士に、不動産登記と抵当権設定登記の両方を代行してもらうのが一般的です。
関東圏における登録免許税の相場は、物件価格が3,000万~5,000万円程度の一般的なファミリー住宅であれば、10万~20万円程度です。東京都内の一等地であれば、100万円を超えることもあります。
司法書士報酬も合わせると、登記費用の相場は、都心の一般的なファミリータイプの住宅で30万〜60万円となります。
②収入印紙(印紙税)
収入印紙は、印紙税を徴収するために政府が発行している証票です。不動産売買契約書や住宅ローンの金銭消費貸借契約書に収入印紙を貼り、署名や印鑑で消印すると印紙税を納税したとみなされます。
費用 | 不動産売買契約の金額によって異なる ※こちらの表で確認できます ※金銭消費貸借契約書に貼付する収入印紙に軽減税率は適用されません |
支払先 | 国 |
支払時期 | 不動産の売買契約締結時、銀行との住宅ローン契約締結時 |
不動産売買契約書に貼付する印紙税には、令和4年3月31日まで軽減措置が適用されます。そのため、3,000万円の物件の売買契約書に貼付が必要な収入印紙の金額は、本来の2万円から1万円に減額されます。
一方で、金銭消費貸借契約書に貼付する収入印紙に、軽減税率は適用されません。よって、3,000万円の物件購入時に必要な収入印紙代は、売買契約書に貼付する1万円と金銭消費貸借契約書に貼付する2万円を合わせた3万円となります。
③火災保険・地震保険の保険料
火災保険とは、火災や風災、水災などで住宅が受けた損害を補償する保険です。地震保険も併せて加入すると、火災保険の補償対象外である地震による火災や倒壊にも備えられます。
ほとんどの金融機関は、火災保険に加入しなければ住宅ローンを融資してくれません。
費用 | 建物の構造や地域、付帯する特約などによって変わる ・戸建て:相場40〜50万円 ・マンション:相場10〜20万円 |
支払先 | 保険会社 |
支払時期 | 保険を申し込んだ後 |
火災保険に加入する方の多くは、保険期間(補償が有効である期間)を最長の10年に設定しています。これは、近年の日本で大雨や地震などの自然災害による損害が増加し、火災保険料が年々値上げされているためでしょう。
たとえば、保険期間を10年にして火災保険に加入すると、10年分の保険料をまとめて支払うため、翌年に保険料が値上げされても影響はありません。同様の理由で、地震保険に加入されている方の多くが、保険期間を最長の5年に設定されています。
また火災保険の保険料は、住宅が損害を受けるリスクによって変わります。
たとえば戸建て住宅は、木造で燃えやすく損害の発生リスクが高いため保険料は割高になります。対してマンションは、コンクリート造で耐火性や耐震性に優れているため保険料は割安です。
④事務手数料
事務手数料とは、住宅ローンを組むときに銀行側の事務作業の対価として支払う費用です。
費用 | ・都市銀行や地方銀行:3万~5万円が相場 ・ネット銀行:定額制もしくは借入額の1〜2% |
支払先 | 住宅ローンを借り入れる金融機関 |
支払時期 | 物件を引き渡すとき |
事務手数料の金額は、都市銀行や地方銀行よりも、ネット銀行の方が高額である場合が多いです。反対に、次で解説する保証料は、ネット銀行よりも都市銀行や地方銀行の方が高額となります。
⑤保証料
保証料とは、住宅ローンの返済が不能になったときに、ローンの残債を肩代わりしてくれる保証会社に対して支払う費用です。
費用 | 0円〜融資額の2%程度 |
支払先 | 住宅ローンを借り入れる金融機関 |
支払時期 | 物件を引き渡すとき |
もし住宅ローンの返済が長期間にわたって滞った場合、保証会社は銀行の負債を肩代わりし、抵当権を行使して住宅を競売にかけます。
しかし、保証会社が住宅を競売にかけて売却したとしても、貸したお金が全額返ってくるとは限らず、多くの場合は損失が発生します。
そのため保証会社は、抵当権の実行によって発生する損失に備えるため、住宅ローンの契約時に借り入れる人から保証料を支払ってもらうのです。
都市銀行や地方銀行の保証料は、融資金額の2%程度に設定されている代わりに、事務手数料は3万円程度で済みます。反対にネット銀行は、保証料がかからない代わりに事務手数料が融資金額の1〜2%に設定されています。
ちなみに、フラット35の優良住宅ローンは、保証料が無料なだけでなく事務手数料は融資金額の0.8%です。保証料と事務手数料の両方が、銀行より安い金額に設定されているため、不動産購入時の諸費用を抑えたい方におすすめです。
⑥仲介手数料
仲介手数料は、仲介を依頼する不動産会社に対して支払う費用です。
費用 | 一般的に成約価格×3%+6万円(税別) |
支払先 | 不動産会社 |
支払時期 | 物件の引き渡しが完了するまで ※大手不動産会社では契約時に半分、決済日に半分を支払うところが多い |
不動産の取引には、法律や金融などの専門知識が必要であるため、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。よって仲介手数料は、不動産の契約において必須の費用といえます。
仲介手数料の上限額は、国土交通省によって「成約価格×3%+6万円」と定められています。例えば5,000万円の不動産を購入する場合、仲介手数料の上限額は156万円+消費税です。
一般的に不動産購入時の諸費用は、購入する物件価格の7%と言われています。
ということは、不動産購入における諸費用のうち、約半分近くは不動産会社に支払う仲介手数料ということになります。
しかし「成約価格×3%+6万円」は、あくまで上限額にすぎません。弊社イエツグの仲介手数料が定額182,900円であるように、上限を超えなければ各不動産会社が自由に仲介手数料の金額を決められます。
住宅の価格は、一般的に数千万円ほどであるため、不動産会社が違うだけで仲介手数料は数百万円も変わってきます。そのため諸費用の支払額は、仲介手数料の金額に左右されると言っても過言ではありません。
⑦ローン代行事務手数料
ローン代行事務手数料とは、不動産会社に住宅ローンの手続きを代行してもらうために支払う費用です。不動産会社によっては、ローン代行事務手数料がかからない場合もあります。
費用 | 5万~10万円 |
支払先 | 不動産会社 |
支払時期 | 物件の引き渡しが完了するまで |
⑧固定資産税・管理費等清算金
住宅を購入すると、毎年1月1日現在で所有している建物および土地の評価額に応じた固定資産税を支払わなければなりません。不動産を購入した年については、所有権を得た日から12月31日までの固定資産税を日割り計算して支払う必要があります。
たとえば、買主が7月1日に不動産の所有権を得たとしましょう。売主は、すでに1年分の固定資産税を支払っています。そのため買主は、7月1日〜12月31日までの半年分の固定資産税を、物件の引き渡し時に売主へ支払う必要があるのです。
また、マンションを購入した場合は、管理費と修繕積立金を精算します。
管理費や修繕積立金は、多くの場合、口座振替で支払うため、マンションの所有者が変わったときは、支払い口座の変更手続きをします。
買主が居住を開始しても、口座の変更手続きが反映されるまでは、売主が管理費と修繕積立金を支払っている状態です。そのため買主は、口座の変更が反映されるまでの管理費と修繕積立金を売主に支払って精算しなければなりません。
費用 | ・固定資産税:土地や建物の評価額で異なる
・管理費等:2か月分以下 |
支払先 | 売主(売りたい方) |
支払時期 | 物件を引き渡すとき |
⑨不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を取得した方に課せられる税金です。
費用 | 土地(住宅用):固定資産税評価額×1.5% 建物:固定資産税評価額×3% ※令和5年3月31日まで ※固定資産税評価額は土地の場所や建物の規模、構造などをもとに各市町村が個別に決めている |
支払先 | 物件の所在地である都道府県 |
支払時期 | 不動産を取得してから半年以内が目安 |
不動産取得税には軽減措置があり、取得した住宅の築年数が以下に当てはまる場合は課税されません。
- 木造戸建て住宅:築20年以内
- マンション:築25年以内
弊社イエツグでは、不動産取得税がかかる物件を購入される場合、売買契約締結前までにお伝えしております。
しかし不動産営業マンによっては、不動産取得税の存在すら知らないこともあり、事前に告知されないケースもあるため、注意してください。
不動産の購入時に発生する諸費用の目安は物件価格の7%
不動産購入時の諸費用は、一般的に物件価格の7%程度が目安と言われています。仮に5,000万円の物件を購入する場合の諸費用は、約350万円です。
ただし物件価格の7%の諸費用が発生するのは、仲介手数料の金額を法定上限額である「物件価格3%+6万円」にしている不動産会社で物件を購入した場合です。
弊社イエツグの仲介手数料は、定額制の182,900円。物件の価格が高くても仲介手数料まで高額になる心配はなく、物件購入時の諸費用負担を大きく抑えられます。
また売主様から仲介手数料をいただける物件については、仲介手数料が無料になるだけでなく、現金をキャッシュバックさせていただきます。金銭的な負担を抑えて、夢のマイホームを購入したい方は、弊社までお気軽にご相談ください。
まとめ:不動産の購入時は諸費用の把握が必須
不動産購入の際は、諸費用の支払いが想定よりも高額で驚かれる方もいらっしゃいます。なぜ諸費用の支払いが必要なのか、どのタイミングで支払わなければならないのかを、住宅を選ぶ前に把握しておくと、資金計画は大きく狂わないはずです。
不動産会社の中には、物件の見学前に諸費用の金額を知られたくないと考えているところもあります。しかし不動産購入時の諸費用を少しでも抑えたいのであれば、諸費用の金額を聞き、不動産会社が規定している仲介手数料を把握しましょう。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。