「株や投資信託で損をしてしまった……せめて税金だけでも取り戻したい」
「確定申告で損益通算ができると聞いたけれど、やり方が難しそうで不安」
投資の世界において、リスクコントロールと同じくらい重要なのが「税金の知識(タックスマネジメント)」です。これは株だけでなく、不動産などすべての資産形成において共通する鉄則です。
私たち「イエツグ」は、不動産売買とファイナンシャルプランニング(FP)のプロフェッショナルとして、多くのお客様の資産形成をサポートしてきました。
この記事では、株の譲渡損失を取り戻すための具体的な「損益通算の手順」を解説するとともに、「なぜ投資で損をした時にこそ、家計や不動産資産を含めたライフプランの見直しが必要なのか」についてもお話しします。
目先の還付金を受け取るだけでなく、将来にわたってあなたの資産を守るための知識を身につけましょう。
目次
あなたは確定申告すべき?3つのパターンでわかる診断チャート
株で損失が出たからといって、全員が確定申告をすべきとは限りません。状況によっては、申告しないほうが家計全体の手取りが多くなるケースもあります。
まずは、あなたがどのパターンに当てはまるかを確認しましょう。
1.【申告不要】特定口座(源泉あり)のみで完結している人
1つの証券会社のみを利用しており、「特定口座(源泉徴収あり)」で取引が完結している場合、原則として確定申告は不要です。
なぜなら、同じ証券口座内であれば、証券会社が自動的に「利益」と「損失」を相殺(損益通算)し、年末に税金の調整を行ってくれるからです。
2.【申告推奨】複数口座で損益が分かれている・繰越控除を使いたい人
以下のいずれかに当てはまる場合は、確定申告をすることを強く推奨します。
- 複数の証券会社を使っている場合
(例:A証券で利益、B証券で損失。申告すれば損益を相殺でき、税金が戻ってくる) - 損失が大きく、今年の利益と相殺しきれない場合
(例:大きな損失が出た。申告すれば、向こう3年間の利益と相殺できる「繰越控除」が使える)
証券会社をまたぐ損益通算や、翌年以降への繰越は、自分で申告しない限り適用されません。
3.【要注意】国民健康保険などの負担増が還付金を上回る人
最も注意が必要なのが、自営業者、年金受給者、無職など「国民健康保険(国保)」に加入している人や、配偶者の扶養に入っている人です。
確定申告をして税金が数万円戻ってきたとしても、それによって「所得」が増えたとみなされ、保険料がそれ以上に上がってしまうリスクがあります。
特に近年の制度改正により、このリスクは格段に高まりました。詳しくは次章で解説しますが、このパターンの人は「申告しない(=還付金を諦める)」ほうが、結果的に得をする場合が多いのです。
「今回の損失を機に、家計全体を見直したい」
お金のプロが無料で診断!投資と住まいのバランスを一緒に考えませんか?
知らないと損する!「住民税申告不要制度の廃止」の影響
2024年度(令和6年度)から、個人投資家にとって非常に大きなルール変更が行われています。それが「所得税と住民税の課税方式の統一(住民税申告不要制度の廃止)」です。
1.これまで使えた「税金のいいとこ取り」ができなくなった理由
以前は、「所得税は申告して還付を受ける」一方で、「住民税は申告不要にして保険料を上げない」という使い分けが可能でした。
しかし、現在はその「使い分け」はできません。
所得税で確定申告をすると、自動的に住民税も申告したことになり、自治体にあなたの所得情報が通知されます。
2.確定申告すると国民健康保険料・介護保険料が上がる仕組み
国民健康保険料や介護保険料は、前年の「所得」をもとに計算されます。
特定口座(源泉あり)で申告しなければ、その利益や配当は「隠れた所得」となり、保険料計算には含まれません。しかし、確定申告をすると「表に出た所得」となり、保険料の計算対象に含まれてしまいます。
3.配偶者控除・扶養控除から外れてしまう「年収の壁」の落とし穴
専業主婦(夫)や学生が投資をしている場合も要注意です。
確定申告をして株の利益や配当が所得として計上されると、配偶者控除や扶養控除の判定基準となる「合計所得金額」が増え、扶養から外れてしまうリスクがあります。
還付金で数万円得をしても、世帯主の税金が増えたり、社会保険料が発生すれば本末転倒です。申告前には必ずシミュレーションが必要です。
税金を取り戻したつもりが、保険料で損をしていませんか?
イエツグのFPが、税制改正に対応した最適な資金計画をご提案します。
そもそも「譲渡損失の損益通算」とは?仕組みをわかりやすく解説
ここからは、実際に損益通算を行うための基礎知識を解説します。
1.株の「負け」を税金の還付に変える基本的な仕組み
損益通算とは、文字通り「利益(益)」と「損失(損)」を「通算(合算)」することです。
株の利益には約20%の税金がかかります。しかし、別の取引で損失があれば、それらを相殺することで「利益」を圧縮し、払いすぎた税金を取り戻すことができます。
2.配当金と相殺して税金を取り戻す「配当控除」との違い
株の売却損は、売却益だけでなく、「配当金」とも相殺(損益通算)できます。
配当金から天引きされていた税金を取り戻すことができるため、高配当株投資をしている方などは特にメリットが大きいです。
3.対象となる金融商品とNISAの注意点
損益通算ができるのは、「上場株式、投資信託、ETF、J-REIT、特定公社債」などのグループ内です。
最も重要な注意点は、「NISA(成長投資枠・つみたて投資枠)」での損失はなかったものとみなされる点です。NISAで出た損失は、課税口座の利益と相殺することはできません。
イエツグは「お客様の心底信頼し合えるパートナー」を目指しています。
不動産も金融資産も、トータルでサポートいたします。
【スマホで完結】株の譲渡損失を損益通算する確定申告のやり方5ステップ
現在はスマホを使えば、自宅からでも簡単に手続きが可能です。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用する手順を解説します。
1.【事前準備】特定口座年間取引報告書とマイナンバーカードを用意
以下のものを手元に用意しましょう。
- 特定口座年間取引報告書(XMLデータまたは書面)
- マイナンバーカード(e-Tax送信に必要)
- スマホ(マイナンバーカード読み取り対応)
2.【作成開始】国税庁「確定申告書等作成コーナー」での初期設定
国税庁サイトにアクセスし、「作成開始」→「e-Tax(マイナンバーカード方式)」を選択します。
3.【入力手順】「分離課税」を選んで報告書の数字を転記する
所得の選択画面では、「分離課税の所得」の中にある「上場株式等の譲渡所得等」と「配当所得等」を選択します。
ここで重要なのが、「申告分離課税」を選択することです。配当所得についても「申告分離課税」を選ばないと、株の損失と通算できません。
4.【重要】「繰越控除」を適用するためのチェックポイント
過去の損失を今年使う場合、または今年の損失を来年に繰り越す場合は、以下の項目に必ずチェックを入れてください。
- 「翌年以後に繰り越される株式等の譲渡損失」
- 「確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」
5.【提出】e-Taxなら自宅から送信して完了
入力が完了し、還付金額を確認したらデータを送信します。数週間で指定口座に還付金が振り込まれます。
将来のお金の不安、ひとりで抱えていませんか?
確定申告をきっかけに、ライフプランを見直してみましょう。
損失を翌年以降に持ち越す「繰越控除」の3つの必須ルール
今年の損失が大きすぎて相殺しきれない場合は、「繰越控除」を使って最大3年間損失を繰り越せます。
1.損失は最大3年間まで繰り越せる
例えば2025年に出た損失は、2026年、2027年、2028年の利益と相殺可能です。
2.取引がない年でも「連続して」確定申告が必要
これが最も重要です。繰越期間中は、取引がない年でも毎年連続して確定申告をしなければなりません。一度でも申告を忘れると、繰越権が消滅します。
3.期限後申告でも適用できるケース
申告期限を過ぎても「期限後申告」は可能ですが、過去に無申告の年があると適用できない場合があります。
資産運用や税金対策のご相談もイエツグへ。
あなたの資産を守るパートナーになります。
【資産防衛】「株」と「不動産」税金ルールの違いとポートフォリオの考え方
ここまで株の損失について解説してきましたが、私たちイエツグにはよくこんなご相談が寄せられます。
「株で大きく損をしてしまったので、今後はもう少し手堅い資産運用を考えたい」
「家の売却で損が出そうだが、これは株の利益と相殺できないのか?」
最後に、資産を守るために知っておくべき「不動産と株の税金の違い」についてお話しします。
1.株の損失と不動産の損失は通算できない(分離課税の壁)
残念ながら、「株の譲渡損失」と「不動産の譲渡利益(またはその逆)」を通算することはできません。
これらは税法上、全く別のグループ(分離課税)として扱われます。そのため、「株で損をしたから、不動産の売却益と相殺して税金を減らす」ということはできないのです。
だからこそ、特定の資産(株など)だけに集中投資するのではなく、資産の種類を分散させておくことが、リスク管理の観点からも重要になります。
2.不動産売却には「3000万円控除」などの強力な特例がある
株にはない不動産の大きなメリットとして、「マイホーム(居住用財産)」に関わる強力な節税特例があります。
- 利益が出た場合:「3,000万円特別控除」を使えば、譲渡所得から最高3,000万円を差し引けるため、多くのケースで税金がゼロになります。
- 損失が出た場合:「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を使えば、不動産の売却損を給与所得などと損益通算できます。(株の損は給与とは通算できません)
このように、不動産(特にマイホーム)は、税制面で非常に優遇されています。
3.「変動する資産」と「実物資産」のバランスを見直そう
株は流動性が高く手軽ですが、今回のように市場の影響を受けて予期せぬ損失が出ることもあります。
一方、不動産は流動性は低いものの、実物資産としての価値があり、独自の税制優遇も受けられます。「株で疲れてしまった」という方は、これを機にご自身の資産ポートフォリオ(株、現金、不動産のバランス)を見直してみてはいかがでしょうか。
イエツグでは、不動産の売買仲介だけでなく、FPによる無料のキャッシュフロー表作成サービスを行っています。「どのくらいの予算で家を買うべきか」「老後資金はどう作るか」、総合的な視点でアドバイスさせていただきます。
不動産売却後の確定申告はプロにお任せ!
イエツグなら「仲介手数料定額」+「確定申告代行無料」で安心です。
まとめ:目先の還付金だけでなく「家計全体」で損得を判断しよう
投資の損失を取り戻すための確定申告は有効な手段ですが、保険料への影響など「全体」を見ないと逆に損をしてしまうこともあります。
そして、それは資産運用そのものにも言えることです。株だけでなく、不動産や預貯金など、家計全体を俯瞰してバランスを整えることが、長期的に資産を守り、増やすための近道です。
「自分にとって最適な資産バランスは?」「将来のために今できることは?」
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひイエツグの無料FP相談をご活用ください。不動産会社ならではの視点で、あなたのライフプランをサポートいたします。
不動産売買、資金計画、税金の悩みなど
住まいとお金に関することなら、お気軽にイエツグまでご相談ください。

























不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士