「住宅ローン控除の初年度申請、うっかり忘れてしまった…もう手遅れだろうか?」
「転勤から戻ってきたけど、一度途切れた住宅ローン控除はもう一度受けられないのかな?」
マイホーム購入後の大きなメリットである住宅ローン控除。しかし、予期せぬ事情で手続きを逃し、大きな不安を抱えていませんか?手続きをしないまま放置すると、本来受け取れるはずだった数十万円、場合によっては百万円以上の還付金を失うことにもなりかねません。
ご安心ください。この記事を読めば、住宅ローン控除を途中から適用するための具体的な方法が、ケース別にすべてわかります。
国税庁の情報を基に、「申請忘れ」と「転勤からの再適用」という2つのパターンに分け、必要な手続きと書類を専門家が徹底解説します。この記事を読めば、不安が「何をすべきか」という明確な行動計画に変わり、控除を取り戻すための一歩を踏み出せます。
目次
まずは結論!住宅ローン控除は2つのケースなら途中からでも適用できる
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、条件を満たせば途中からでも適用できます。諦める前に、ご自身の状況がどちらのケースに当てはまるか確認しましょう。
主に考えられるのは、以下の2つのケースです。
- ケース①:初年度の確定申告を忘れてしまった場合
- ケース②:転勤などのやむを得ない事情で一時的に住んでいなかった場合
どちらのケースも、正しい手順を踏めば控除を適用できます。この記事で、それぞれの具体的な手続き方法を詳しく見ていきましょう。
控除の適用を逃さないための全体像
住宅ローン控除を途中から適用するには、まずご自身の状況を正確に把握することが重要です。初年度の申請を忘れただけなのか、一度控除を受けた後に中断期間があるのかで、手続きが大きく異なります。
申請忘れの場合は「還付申告」で過去の分を取り戻し、控除の中断期間がある場合は「再適用」の手続きで控除を再開します。どちらも期限や必要書類が定められているため、一つずつ着実に進めることが大切です。
ケース①:初年度の確定申告を忘れてしまった場合
マイホームに入居した翌年に行うべき、住宅ローン控除の確定申告を忘れてしまったケースです。会社員の方で、普段は確定申告に馴染みがない場合に起こりがちです。
この場合、入居した翌年から5年以内であれば、「還付申告」を行うことで、控除を受ける権利を取り戻せます。過去に遡って申請できるため、諦める必要は全くありません。
ケース②:転勤などで一時的に住んでいなかった場合
住宅ローン控除の適用を受けていたものの、転勤といったやむを得ない事情で一時的にその家に住めなくなったケースです。その後、再び元の家に戻って居住する場合、一定の条件を満たせば控除を再開できます。
この「再適用」を受けるには、転勤前に税務署へ特定の届出書を提出しているかどうかが重要なポイントになります。中断期間があっても、控除期間の残りを無駄なく活用できる可能性があります。
【ケース1】初年度の申告忘れは「還付申告」で5年遡れる!
住宅ローン控除の初年度申請を忘れてしまっても、救済措置があります。それが「還付申告」です。この制度を正しく理解し、払い過ぎた税金を取り戻しましょう。
1. 還付申告とは?忘れていた控除を取り戻す手続き
還付申告とは、納め過ぎた所得税を返してもらうための手続きです。通常の確定申告期間(原則2月16日〜3月15日)とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間、いつでも申告できます。
住宅ローン控除の初年度申請を忘れた場合、この還付申告を行うことで、本来受けられるはずだった控除額に相当する税金の還付を受けられます。1年分だけでなく、もし2年、3年と申請を忘れていても、5年以内であればそれぞれ申告が可能です。
2. 還付申告ができる期間と条件
還付申告には期限があります。控除を受ける権利が発生した年(=入居した年)の翌年1月1日から5年間です。例えば、2023年に入居した場合、2024年1月1日から2028年12月31日までが還付申告の可能期間となります。
この期間を1日でも過ぎると時効となり、還付を受けられなくなります。申請忘れに気づいたら、できるだけ早く手続きを始めることが重要です。
3. 還付申告の手続き3ステップと必要書類
還付申告の手続きは、以下の3ステップで進めます。
- 必要書類の準備:国税庁のホームページや税務署で確定申告書などを入手し、金融機関から年末残高等証明書を取り寄せます。
- 申告書の作成:「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を作成し、その内容を確定申告書に転記します。
- 税務署へ提出:管轄の税務署に持参するか、郵送、あるいはe-Tax(電子申告)で提出します。
必要書類には、登記事項証明書や売買契約書の写しなども含まれます。事前にしっかり確認し、漏れなく準備しましょう。
4. 2年目以降の手続きはどうなる?
無事に初年度の還付申告が完了したら、2年目以降の手続きも忘れてはいけません。給与所得者の場合、2年目以降は勤務先の年末調整で控除を受けられます。
税務署から送られてくる「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」と、金融機関から届く「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」の2点を勤務先に提出するだけで手続きは完了です。確定申告より簡単なので、忘れずに提出しましょう。
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【ケース2】転勤からの再適用!控除を再開するための手続き
転勤など、やむを得ない事情で一時的にマイホームを離れた場合でも、住宅ローン控除を諦める必要はありません。条件を満たせば、控除を再開できる「再適用」の制度があります。
1. 控除が再開できる「やむを得ない事情」とは?
住宅ローン控除の再適用が認められるのは、勤務先の転勤命令など、自己都合ではない「やむを得ない事情」で居住できなくなった場合です。家族(配偶者や扶養親族など)と共に転居することが条件となります。
単身赴任で家族がその家に住み続けている場合は、控除が継続されるため再適用の手続きは不要です。あくまで、家族全員が一時的に転居した場合が対象となります。
2. 【重要】転勤前に必要な「届出書」の提出
再適用を受ける上で最も重要なのが、転勤などで家を離れる前に、税務署へ「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出しておくことです。
この届出書を提出していないと、原則として再適用は認められません。提出期限は、居住しなくなる日までです。この事前手続きが、将来の控除を再開するための鍵となります。
3. 再入居した年に行う確定申告の手続きと必要書類
転勤先から戻り、再びマイホームに住み始めたら、その年の所得について確定申告を行うことで控除を再開します。2年目以降の年末調整では手続きできないため、注意が必要です。
確定申告の際には、通常の必要書類に加えて「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」の控えや、転勤の事実を証明する書類(辞令の写しなど)が必要になる場合があります。事前に税務署へ確認しておくとスムーズです。
4. 控除期間は延長される?残りの控除期間の計算方法
転勤などで住んでいなかった期間があっても、控除期間は延長されません。控除が受けられるのは、あくまで当初の控除期間の残り年数分です。
例えば、13年間の控除期間のうち、3年間控除を受けた後に5年間転勤した場合、戻ってきてから控除を再開できるのは残りの5年間となります。空白期間があっても、控除の終了年は変わらないと覚えておきましょう。
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手続きの前に再確認!住宅ローン控除の基本的な6つの適用条件
住宅ローン控除を途中から適用する場合でも、大前提となる基本条件を満たす必要があります。手続きを始める前に、以下の6つの条件をクリアしているか改めて確認しましょう。
1. 自分が住むための住宅であること
住宅ローン控除は、契約者本人が住むための家(主たる居住用家屋)が対象です。投資用マンションや、親族に貸すための家などは対象外となります。
店舗併用住宅の場合は、床面積の2分の1以上が居住用である必要があります。あくまで「自分が住む」という目的が大前提です。
2. 床面積が50㎡以上であること
登記簿上の床面積が50平方メートル以上である必要があります。マンションの場合、内法(うちのり)面積で計算されるため、パンフレット記載の壁芯面積より少し狭くなる点に注意が必要です。
ただし、合計所得金額が1,000万円以下の年に限り、床面積の要件は40平方メートル以上に緩和されます。
3. 合計所得金額が2,000万円以下であること
控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下でなければなりません。年収ではなく、各種控除などを差し引く前の所得金額である点に注意してください。
給与収入のみの場合、年収がおおよそ2,200万円を超えると対象外になる可能性があります。自営業者の方などは、事業所得などを含めた金額で判断します。
4. ローンの返済期間が10年以上であること
控除の対象となるのは、返済期間が10年以上に設定されている住宅ローンです。繰り上げ返済によって返済期間が10年未満になった場合、その年から控除の対象外となるため計画的な返済が求められます。
親族からの借入金や、勤務先からの無利子または低金利(年0.2%未満)での借入金は、原則として対象になりません。
5. 居住の年から前後2年間に他の特例を受けていないこと
家を買い替える際に、元の家を売却して利益が出た場合の特例(3,000万円特別控除など)と、住宅ローン控除は併用できません。
具体的には、居住した年とその前後2年間(合計5年間)に、譲渡所得の課税の特例を受けていないことが条件です。どちらの税制優遇が大きいか、事前にシミュレーションすることが重要になります。
6. 中古住宅の場合は耐震性能などの条件を満たすこと
中古住宅を購入した場合、上記の条件に加えて耐震性に関する条件が加わります。1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)であることが一つの目安です。
それ以前に建築された住宅の場合は、「耐震基準適合証明書」や「既存住宅売買瑕疵保険への加入」など、一定の耐震性を満たすことを証明する書類が必要となります。
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【チェックリスト】住宅ローン控除の途中申請で必要な書類一覧
住宅ローン控除を途中申請(還付申告や再適用)する場合、必要書類を漏れなく揃えることが重要です。いざという時に慌てないよう、事前にこのチェックリストで確認しておきましょう。
全員が共通で必要な書類
まず、どのケースでも基本的に必要となる書類です。
- 確定申告書:税務署や国税庁のサイトで入手
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書:申告書と同様に税務署などで入手
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書:ローンを組んでいる金融機関から郵送される
- 本人確認書類(マイナンバーカードなど)の写し
特に金融機関から送られてくる年末残高等証明書は再発行に時間がかかる場合があるため、大切に保管しましょう。
土地・建物の購入で必要な書類
土地や建物を購入した場合は、以下の書類を追加で準備します。
- 建物の登記事項証明書(登記簿謄本):法務局で取得
- 不動産売買契約書または建築請負契約書の写し
- (補助金を受けた場合)補助金等の額を証する書類
- (住宅取得等資金の贈与を受けた場合)贈与税の申告書など
登記事項証明書は、取得後6ヶ月以内のものなど、有効期限に注意が必要な場合があります。
中古住宅の場合に追加で必要な書類
中古住宅を購入した場合は、耐震性を証明するために以下のいずれかの書類が必要になることがあります。
- 耐震基準適合証明書
- 建設住宅性能評価書の写し
- 既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書
これらの書類は、不動産会社や建築士事務所などに依頼して取得します。物件の築年数に応じて必要な書類が変わるため、事前に確認しておきましょう。
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住宅ローン控除の途中適用に関するよくある質問
ここでは、住宅ローン控除を途中から適用する際によくある質問とその回答をまとめました。あなたの疑問もここで解決するかもしれません。
Q1. 5年以上前に初年度の申請を忘れていました。もう手遅れですか?
A. 残念ながら、5年の時効を過ぎた分については還付申告ができません。
例えば、7年前に入居して一度も申請していなかった場合、遡って申告できるのは法令で定められた過去5年分のみです。それより前の期間は時効のため申請できません。申請忘れに気づいた時点で、一日でも早く手続きをすることが重要です。
Q2. 転勤前に「届出書」を出し忘れた場合はどうなりますか?
A. 原則として、住宅ローン控除の再適用は受けられません。
ただし、出し忘れにやむを得ない事情があったと税務署が認めた場合に、例外的に再適用が認められるケースも稀にあります。諦める前に、まずは管轄の税務署に事情を説明し、相談してみることをお勧めします。
Q3. 必要書類を紛失してしまった場合はどうすればいいですか?
A. ほとんどの書類は再発行が可能です。
例えば、「年末残高等証明書」は金融機関に、「登記事項証明書」は法務局に依頼すれば再発行してもらえます。売買契約書を紛失した場合は、仲介した不動産会社に相談してみましょう。時間はかかりますが、諦めずに各所に問い合わせることが大切です。
Q4. 2年目以降は年末調整で手続きできますか?
A. はい、給与所得者であれば2年目以降は年末調整で手続きが完了します。
初年度の確定申告(または還付申告)を済ませると、その年の秋ごろに税務署から残り期間分の「控除証明書」がまとめて送付されます。その証明書と、金融機関から毎年送られる「残高証明書」を勤務先に提出すれば、年末調整で控除が適用されます。
まとめ:住宅ローン控除の適用漏れは防げる!まずは自分の状況把握から始めよう
住宅ローン控除は、初年度の申請を忘れた場合でも「還付申告」で5年遡って申請でき、転勤などからの再入居でも「再適用」の手続きで控除を再開できます。諦めていた方も、正しい知識と手続きで、本来受けられるはずの還付金を十分に取り戻せます。
最も重要なのは、ご自身の状況がどちらのケースに当てはまるかを正確に把握し、必要な書類を揃え、期限内に手続きをすることです。
もし手続きが複雑で不安なら、一人で抱え込まず専門家に相談するのも有効な手段です。この記事を参考に、まずはご自身の状況確認から始めてみましょう。
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不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士