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【固定資産税は誰が払う?】不動産売買・相続・共有ケース別の納税義務者を徹底解説
不動産の売買や相続の際に、「今年の固定資産税は誰が払うのだろう?」と疑問に思うことは少なくありません。固定資産税の支払いは、法律上のルールと実務上の慣習が少し異なるため、混乱しやすいポイントです。このルールを知らないと、売主と買主の間でトラブルになったり、余計な税金を払ったりする可能性もあるため注意が必要です。この記事では、不動産のプロが「誰が・いつ・どのように」固定資産税を支払うのか、売買、相続、共有といった具体的なケースごとに、分かりやすく解説します。読み終える頃には、あなたの状況に合わせた正しい対応が分かり、安心して手続きを進められるようになっているでしょう。
【結論】固定資産税を支払う義務があるのは「その年の1月1日時点の所有者」
固定資産税を支払う義務があるのは、毎年1月1日時点の不動産所有者です。これは地方税法で定められた大原則です。そのため、年の途中で不動産を売却しても納税義務者は変わりません。
この1月1日のことを「賦課期日(ふかきじつ)」と呼びます。市区町村は、この賦課期日時点の登記簿情報をもとに課税相手を判断します。したがって、1月2日に不動産を売却したとしても、その年の納税義務者は1月1日時点の所有者である売主のままです。
1-1. 地方税法で定められた納税義務者の大原則
固定資産税の納税義務者は、地方税法第343条第1項により「固定資産の所有者」と定められています。ここでの「所有者」とは、原則として不動産登記簿に所有者として登記されている人です。つまり、1月1日時点で登記簿上の所有者だった人が、その年度の固定資産税を全額納付する義務を負います。
このルールは絶対です。たとえ売主と買主の間で「固定資産税は買主が負担する」と個人的に合意しても、市区町村への納税義務は、1月1日時点の所有者である売主にあります。
1-2. 納税通知書はいつ・誰に届くのか?
納税通知書は、毎年4月から6月ごろ、その年の1月1日時点の所有者宛てに市区町村から郵送されます。納税通知書には、納めるべき税額や納付期限が記載されています。支払いは年4回の分割が基本ですが、一括での全額支払いも可能です。
例えば、2025年2月にAさんからBさんへ不動産が売却されたケースを考えてみましょう。2025年度の納税通知書は、2025年1月1日時点の所有者であるAさんのもとに届きます。Bさんのもとに納税通知書が届くのは、所有者として登記された翌年の2026年度からです。
【不動産売買】年の途中で売買した場合、固定資産税は誰が払う?3つのポイント
年の途中で不動産を売買した場合、法律上の納税義務者は売主ですが、実際の取引では売主と買主で費用を分担するのが一般的です。この仕組みを理解していないと思わぬ負担が生じることもあるため、不動産売買における固定資産税の3つの重要ポイントを解説します。
2-1. 法律上の納税義務は、あくまで売主にある
年の途中で不動産を売却した場合でも、その年度の固定資産税を納める法的な義務は、1月1日時点の所有者である売主にあります。市区町村は、売主に対して納税通知書を送り、納税を求めます。
仮に、買主が支払いを約束していても、万が一支払われなかった場合、市区町村は売主に対して督促を行います。納税義務は当事者間の契約内容に影響されない、という点をまず理解しておきましょう。
2-2. 実質的な負担は引渡し日を基準に「日割り計算(按分)」するのが一般的
法律上の納税義務者は売主ですが、不動産取引の実務では、物件の引渡し日を境に売主と買主が固定資産税を日割りで分担(按分)するのが商慣習です。これは、所有権が移転した日以降の税金を新しい所有者(買主)が負担するのが公平だ、という考え方に基づくものです。
この日割り計算で算出された買主の負担分は「固定資産税清算金」と呼ばれ、物件の売買代金とは別に、決済(引渡し)当日に売主へ支払われるのが一般的です。これにより、売主は立て替えた税金分を回収します。
具体的な計算例で見る固定資産税の日割り精算
固定資産税の日割り計算は、以下の式で算出します。
(固定資産税+都市計画税)の年税額 × 買主の所有日数 ÷ 365日 = 買主の負担額
例えば、年税額10万円の物件を8月1日に引き渡した場合(起算日1月1日)を見てみましょう。買主の所有期間は8月1日から12月31日までの153日間です。そのため、買主の負担額は「10万円 × 153日 ÷ 365日 = 41,917円」となり、この金額を買主が売主に支払います。
関東と関西で違う?日割り計算の「起算日」に注意
日割り計算を始める「起算日」には、主に「1月1日」と「4月1日(会計年度の初日)」の2パターンがあり、地域によって慣習が異なります。一般的に、関東では1月1日、関西では4月1日を起算日とすることが多いようです。
どちらを起算日にするかで、売主と買主の負担割合は変わります。例えば、8月1日に引き渡す場合、起算日が1月1日なら買主の所有日数は153日ですが、4月1日なら243日となり、負担額が大きく変動します。契約前にどちらの起算日で計算するのか、必ず確認しましょう。
2-3.【契約前に必読】売買契約書の「公租公課の分担」条項で損をしないためのチェックポイント
固定資産税の日割り計算に関する取り決めは、不動産売買契約書の「公租公課の分担」といった条項に明記されます。この条項は、後のトラブルを防ぐうえで非常に重要です。署名・捺印する前に、以下の点を確認しましょう。
- 日割り計算の対象となる税金(固定資産税、都市計画税)
- 日割り計算の基準となる「起算日」(1月1日か、4月1日か)
- 基準となる税額(前年度の税額か、当年度の税額か)
特に、年の前半に税額が確定する前に契約する場合、前年度の税額を基準にすることが多いため、その旨が記載されているかを確認しましょう。
イエツグ独自の視点!トラブルを未然に防ぐ条文の読み解き方
契約書は専門用語が多く分かりにくいものですが、特に注意したいのが「引渡し日の前日までの分を売主、引渡し日以降を買主の負担とする」といった所有期間の区切り方です。「引渡し日を含むか、含まないか」で1日分の負担が変わるため、この表現は非常に重要です。不明な点があれば、遠慮せずに不動産会社の担当者に質問し、明確な説明を求めてください。あいまいな理解のまま契約を進めるのは避けましょう。
まとめ:不動産の売買で損をしたくない方は、仲介手数料定額のイエツグにご相談ください
固定資産税の精算は、不動産売買における諸費用の一部です。売買にかかる費用を少しでも抑えたいとお考えなら、仲介手数料が定額制のイエツグにご相談ください。専門知識豊富なスタッフが、費用を抑えつつ、トラブルのない安全な取引をサポートします。
【不動産相続】親が亡くなった場合、固定資産税は誰が払う?3つの注意点
親などが亡くなり不動産を相続した場合、固定資産税は誰がどのように支払うのでしょうか。相続は売買と異なり、複数の相続人が関わるため特有のルールがあります。ここでは、相続における固定資産税の3つの注意点を解説します。
3-1. 納税義務は相続人に自動的に引き継がれる
亡くなった方が所有していた不動産の固定資産税の納税義務は、その相続人に自動的に引き継がれます。亡くなった方が納税すべきだった税金は、相続人が代わりに支払わなくてはなりません。
例えば、5月に亡くなった場合、その年度の納税義務者は故人本人ですが、未払いの税金があれば相続人がその支払義務を引き継ぎます。また、故人が過去の固定資産税を滞納していた場合、その滞納分と延滞税も相続人が支払う必要があります。
3-2. 相続人が複数いる場合は全員に「連帯納税義務」が発生する
相続人が複数いる場合、遺産分割協議で新たな所有者が決まるまでは、法定相続人全員が「連帯納税義務者」になります。連帯納税義務とは、各相続人が法定相続分に応じて義務を負うだけでなく、納税額の全額についてそれぞれが支払う義務を負う、というものです。
市区町村は、連帯納税義務者の中の誰か一人に、納税額の全額を請求できます。請求された一人が全額を支払った後、他の相続人に対してそれぞれの負担分を請求(求償)する流れになります。
遺産分割協議が終わるまでは法定相続人が納税義務者
遺産分割協議が長引き、翌年の1月1日(賦課期日)を迎えても不動産の登記名義人が故人のままである場合、法定相続人全員が納税義務者とみなされます。この場合、納税通知書は相続人の代表者宛てに送付されるのが一般的です。誰が支払うかで揉めないよう、相続人間で事前に話し合っておくことが重要です。
「相続人代表者指定届」を提出して手続きをスムーズに
相続が発生したら、市区町村役場に「相続人代表者指定届」を提出すると、納税通知書を特定の相続人に送付してもらえます。これは納税に関する書類の送付先を決めるための手続きであり、この届出で代表者が法的な納税義務者になるわけではありません。
この届出をしておくと、役所からの連絡窓口が一本化されるため、手続きがスムーズです。通常、相続が発生すると役所からこの届出書の案内が送られてくるので、速やかに提出しましょう。
3-3.遺産分割で揉めないための固定資産税の取り決め方
遺産分割協議を行う際は、不動産そのものの分け方だけでなく、その年にかかる固定資産税の負担についても必ず話し合いましょう。誰がどの割合で負担するのかを明確にし、その内容を遺産分割協議書に記載しておくことが、後のトラブルを防ぐ最も有効な対策です。
例えば、「不動産を相続するAが、当該年度の固定資産税の全額を負担する」といった一文を入れておけば、他の相続人が支払いを求められる心配もなくなります。専門家の視点から見ても、この事前合意が円満な相続の鍵です。
まとめ:相続した不動産の扱いや資金計画にお悩みなら、専門家への相談が安心です
相続した不動産をどう活用すれば良いのか、また固定資産税を含めた今後の資金計画に不安がある方は、専門家に相談することをおすすめします。イエツグでは、空き家活用の専門家やファイナンシャルプランナーが、あなたの状況に合わせた最適なアドバイスを無料で行っています。
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【ケース別】こんなとき固定資産税は誰が払う?
不動産売買や相続以外にも、固定資産税の納税義務者が誰になるのか分かりにくいケースがあります。ここでは、よくある具体的なケースを取り上げ、誰が納税義務を負うのかを解説します。
4-1. 夫婦や親子で「共有名義」の不動産の場合
不動産を複数人の共有名義で所有している場合、固定資産税は共有者全員が「連帯納税義務者」となります。これは、各共有者が自身の持分だけでなく、税額の全額に対して支払い義務を負うことを意味します。
納税通知書は通常、共有者の代表者1名に送付されます。誰が代表者になるかは、登記簿の記載順や市町村の判断によります。代表者が全額を支払った後、他の共有者に対してそれぞれの持分に応じた金額を請求するのが一般的です。
4-2. 離婚して財産分与した場合
離婚による財産分与で不動産の名義を変更した場合でも、その年の1月1日時点の登記名義人が納税義務者です。例えば、年の途中で夫から妻へ名義変更した場合、その年の納税義務者は夫のまま変わりません。
ただし、当事者間の話し合いにより、財産分与の条件として、名義変更後の固定資産税を妻が負担するといった取り決めは可能です。この場合も、売買のケースと同様に当事者間で金銭の精算を行います。
4-3. 相続放棄をした場合
家庭裁判所で正式に相続放棄の手続きが完了した場合、その人は初めから相続人ではなかったとみなされるため、固定資産税の納税義務を負うことはありません。これは、故人の滞納分についても同様です。
ただし、相続放棄をしても、次の相続人が決まるまでの間は不動産の管理義務が残る場合があります。管理を怠って周辺に損害を与えた場合、損害賠償責任を問われる可能性があるため注意が必要です。
4-4. 新築の家を建てた場合
新築の家を建てた場合、固定資産税は家が完成した翌年から課税されます。納税義務者となるのは、家が完成した翌年の1月1日時点での所有者です。土地については、家を建てる前から所有していれば、その時点から固定資産税がかかります。
新築住宅には、一定の要件を満たすことで固定資産税が3年間(マンション等は5年間)、2分の1に減額される軽減措置があります。忘れずに手続きを行いましょう。
知らないと損をする固定資産税のQ&A
固定資産税に関しては、多くの方が疑問を持っています。ここでは、よくある質問とその回答をQ&A形式でまとめました。ぜひ参考にしてください。
5-1. Q. 固定資産税を滞納するとどうなりますか?
A. 固定資産税を滞納すると、納期限の翌日から延滞税が加算されます。それでも納付しないままでいると、市区町村から督促状が送付され、最終的には給与や預貯金、不動産といった財産が差し押さえられる可能性があります。差し押さえられた不動産は、公売にかけられ強制的に売却されることもあり、必ず期限内に納付しましょう。支払いが困難な場合は、早めに役所の窓口へ相談することが重要です。状況によっては、分割納付などの対応をしてもらえる場合があります。
5-2. Q. 納税通知書の内容に不満がある場合はどうすればいいですか?
A. 納税通知書に記載された固定資産の評価額に不満がある場合、納税者は審査の申し出ができます。この手続きは「審査申出制度」と呼ばれ、納税通知書を受け取った日の翌日から3か月以内に、市町村に設置されている「固定資産評価審査委員会」へ文書で行う必要があります。ただし、評価額が誤っていることを納税者自身が証明する必要があるため、専門家への相談も検討しましょう。
5-3. Q. 固定資産税を安くする方法はありますか?
A. いくつかの軽減措置を活用することで、固定資産税を安くできる場合があります。代表的なのは、住宅が建っている土地に適用される「住宅用地の特例」です。この特例により、土地の課税標準額が最大で6分の1に減額されます。また、前述した「新築住宅の軽減措置」や、省エネ改修・バリアフリー改修を行った場合の減額制度などもあります。ご自宅が対象になるか、一度市区町村のウェブサイトなどで確認してみましょう。
5-4. Q. 建て替え中の固定資産税はどうなりますか?
A. 家を建て替えるために既存の住宅を取り壊す場合、注意が必要です。1月1日時点で更地になっていると、「住宅用地の特例」が適用されず、土地の固定資産税が最大で6倍になってしまう可能性があります。ただし、一定の要件を満たせば、建て替え中であっても特例が継続して適用される場合があります。取り壊しや建築のタイミングについては、事前に市区町村へ確認し、計画的に進めることが非常に重要です。
まとめ:固定資産税のルールを正しく理解し、トラブルのない不動産取引を
固定資産税の納税義務者は、法律上「その年の1月1日時点の所有者」と明確に決まっています。しかし、実際の不動産売買では日割り計算で負担を分担するなど、商慣習に基づいた対応が一般的です。また、相続の場合は複数の相続人が関わるため、より複雑になります。
こうしたルールを正しく理解し、契約書の内容をしっかり確認することが、予期せぬトラブルを避け、安心して不動産取引を行うための鍵です。この記事が、あなたの固定資産税に関する不安や疑問を解消する一助となれば幸いです。

















不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士