「親から相続した地方の土地、国に返せばスッキリするのでは?」と考えていませんか。2023年に始まった「相続土地国庫帰属制度」は、一見すると救済の光に見えます。しかし2026年現在、実際には「多額のお金を払い、完璧な更地にした土地だけを、国に有料で引き取ってもらう」という非常にハードルの高い制度であることが分かってきました。この記事では、国が教えないこの制度の厳しい現実と、あなたが大損しないための判断基準を分かりやすくお伝えします。最後まで読めば、大切なお金をドブに捨てずに、土地の悩みを解決する正しい道が見つかるはずです。
目次
まずは結論!相続土地国庫帰属制度は「優良な更地」しか引き取らない有料サービス
相続土地国庫帰属制度の最大のデメリットは、国が「管理の面倒な土地」を絶対に引き取らないという点にあります。本来、この制度を使いたいのは「売れなくて管理もできない困った土地」をお持ちの方のはずです。しかし、国が受け付けるのは「建物がなく、境界がハッキリし、トラブルが一切ない優良な土地」だけです。具体的な「不都合な真実」をまとめました。
- 返却には「大金」が必要:手続きの手数料だけでなく、最後には10年分の管理費を前払いさせられます。
- 「お断り」される項目が多すぎる:建物、ゴミ、崖、隣人との争い。一つでもあれば即座に却下されます。
- 成功率は高くない:相談に来た多くの人が、あまりの条件の厳しさに申請を諦めているのが実態です。
つまり、この制度は「土地を捨てる場所」ではなく、大金を払ってでも「法的責任を消したい人」のための、ごく一部の人しか使えないサービスなのです。安易に飛びつく前に、自分の土地が国の「合格ライン」に届いているかを冷静に見極める必要があります。
お金の罠!国に土地を返すためにかかる「3つの高額なコスト」
「いらない土地なんだから、タダで引き取ってほしい」と思うのが普通ですが、現実は正反対です。国に土地を返すためには、驚くほど多額の現金を準備しなければなりません。申請から完了まで、あなたの財布から出ていく「3つのコスト」の正体を詳しく見ていきましょう。
1.【審査手数料】1筆1.4万円。断られても、自分でやめても1円も戻らない
まず、申請するだけで「審査手数料」として土地1筆につき1万4,000円がかかります。もし山林などが10個の区画(10筆)に分かれていれば、それだけで14万円が消えていきます。最も恐ろしいのは、審査の結果「この土地は引き取れません」と断られても、この手数料は1円も返ってこない点です。さらに、審査の途中で追加の書類や調査を求められ、これ以上は無理だと自分から諦めた場合も没収されます。「まずは試しに申請してみよう」という軽い気持ちで手を出すと、あまりにリスクが高い「捨て金」になる可能性があるのです。
2.【負担金】最低20万円から。市街地の土地なら100万円を超えるケースも
運良く国の審査に合格しても、最後には「負担金」という名の10年分の管理費を支払わなければなりません。原野や山林なら一律20万円ほどで済むケースもありますが、住宅街の土地などは面積に応じて金額が跳ね上がります。例えば、市街地にある100坪程度の宅地なら、負担金だけで100万円を超えることも珍しくありません。売却価格が100万円もしないような土地を処分するために、国へ100万円以上支払うのは、経済的に大きなマイナスです。この負担金を一括で支払わなければ、せっかくの合格も取り消され、それまでの苦労が全て水の泡となってしまいます。
3.【隠れた巨額費用】建物の解体と境界の測量で、数百万円の持ち出しが必須
制度を利用するための最も高い壁は、国に払うお金ではなく「国に返す前の準備費用」です。この制度は、建物がある土地は1ミリも受け付けてくれません。古い実家が建っているなら、まずあなたが自腹で100万円から300万円かけて解体し、真っさらな更地にする必要があります。さらに、隣の土地との境目(境界)をプロの測量士に依頼して、杭を打ち、隣の人のハンコをもらわなければなりません。この測量費だけで数十万円、隣の人が非協力的なら交渉は行き止まりです。「土地を返すために300万円払う」ことが、本当にあなたにとって正しい選択なのか、一度立ち止まって考えるべきです。
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条件の壁!申請しても「門前払い」にされる5つの厳しいルール
お金を払う準備があっても、土地の状態によっては、国は受け取りを拒絶します。国は「税金を使ってまで管理したくない問題物件」を、法律によって徹底的に排除しているからです。せっかくの努力が無駄にならないよう、申請が通らない「お断りパターン」を5つ紹介します。
1.【更地ルール】ボロ家や物置、未登記の小屋が一つでもあると即アウト
国庫帰属制度の鉄則は「建物が一切ないこと」です。誰かが住める家はもちろん、ボロボロの空き家、庭にある物置、さらには登記されていない小さな小屋さえも残っていてはいけません。「そのまま引き取って、国で壊してほしい」という願いは、今の法律では絶対に聞き入れられません。あなたが自分の手で、建物を跡形もなく消し去ることがスタートラインになります。この更地にするコストとリスク(壊した後に土地に問題が見つかる等)を、全て個人が負わなければならないのがこの制度の冷たさです。
2.【境界ルール】隣の人と「ここが境目ですね」と100%合意していないとダメ
「境界がハッキリしない土地」は、国は1坪たりとも受け取りません。単に杭が打ってあるだけでなく、隣の土地の所有者全員が、その場所に納得している証拠が必要です。もし隣の人が「そこは私の土地だ」と主張していたり、そもそも隣の人が行方不明だったりすれば、その時点で申請は不可能です。地方の古い土地では、隣の家も相続が放置され、誰が持ち主か分からない「所有者不明土地」が連鎖していることがよくあります。自分の土地を返そうとしたら、隣の家の家系図まで調べてハンコをもらいに行かなければならない。そんな地獄のような手間が発生するリスクがあるのです。
3.【崖・ゴミのルール】急な斜面がある土地や、地下にガラが埋まっている土地は拒絶される
国は「いつか土砂崩れが起きそうな崖地」や「管理に手間がかかる荒れ地」も嫌がります。勾配が30度以上あり、高さが5メートルを超える崖が含まれている土地は、原則として引き取ってくれません。また、地表が綺麗でも、地面の下に「浄化槽」や「建物の破片(ガラ)」、古い井戸などが埋まっていると不合格になります。国は現地調査で厳しくチェックするため、隠し事はできません。「管理が大変だから国に返したい」という一番の動機が、皮肉にも「管理が大変だから国は引き取らない」という理由で拒絶されてしまうのです。
4.【共有名義の壁】兄弟の一人でも「手放したくない」と言えば、制度は1ミリも使えない
土地を兄弟や親戚と分け合って持っている(共有名義)場合、ハードルはさらに跳ね上がります。この制度を使うには、名義人全員が「国に返します」と同意し、共同で申請しなければなりません。もし一人でも「先祖代々の土地だからいつか価値が出る」と反対すれば、他の人がどれだけ困っていても申請すらできません。親族間の話し合いがまとまらず、制度が使えないまま放置されるケースが後を絶ちません。相続放棄は自分一人で決められますが、この制度は「一族全員の合意」という重い足枷があることを忘れないでください。
5.【1年の待ち時間】審査中に土砂崩れやゴミのポイ捨てがあれば、あなたの責任でやり直し
申請してから国が最終的な返事(承認)を出すまでには、半年から1年という長い時間がかかります。この「待ち時間」の間、土地はまだあなたの所有物のままです。もし審査中に台風で崖が崩れたり、心ない誰かに粗大ゴミをポイ捨てされたりすれば、全てあなたの責任で片付けなければなりません。修復ができなければ、それまで積み上げた審査は中断され、不承認になることもあります。国に鍵を渡すその瞬間まで、固定資産税を払い続け、草むしりをし、トラブルに怯えなければならない精神的な負担は想像以上に重いものです。
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どっちがお得?「国庫帰属」と「相続放棄」を徹底比較
土地を手放す方法は、国に返すことだけではありません。昔からある「相続放棄」と比較して、どちらがあなたの人生にとってプラスになるのか、冷静に比べる必要があります。それぞれのメリットとデメリットを、お財布事情に合わせて整理してみましょう。
1.「いらない土地だけ」選べるのが最大のメリットだが、その代償はあまりに重い
国庫帰属制度の一番の売りは、「実家や貯金は相続して、山奥の土地だけを捨てる」といった『つまみ食い』ができる点です。対して相続放棄は、現金も家も全てセットで捨てなければなりません。しかし、この「選べる自由」を手に入れるためには、前述した数百万の費用と、膨大な書類作成の苦労が伴います。もし、相続するプラスの財産(現金など)よりも、土地を国に返すための費用のほうが高いのであれば、それは「自由を買って大損をしている」ことになります。どちらの選択が最終的に手元にお金を残せるのか、トータルの収支で判断することが不可欠です。
2.お金がないなら「相続放棄」の方がマシ?2023年の法改正で変わった管理責任
「土地を相続放棄しても、ずっと管理責任が残るから怖い」という噂を耳にすることがあります。しかし、2023年4月の法改正で、管理義務のルールが整理されました。現在、相続放棄をした土地を「実際に触っていない(占有していない)」のであれば、昔ほど重い管理責任を負わされることはありません。数千円の手数料で済む相続放棄に対し、数百万円かかる国庫帰属。「お金を払ってでも100%確実に責任をゼロにしたい富裕層」は国庫帰属を、そうでない方は相続放棄を検討するのが、現代の相続における一つの現実的な答えです。
3.【衝撃の事実】300万円払って国に返すより、持ち続けたほうが「安い」ケースがある
あまり語られませんが、実は「国に返さず、持ち続けるのが一番安上がり」という皮肉なケースも存在します。例えば、年間の固定資産税が5,000円で、草むしりも不要な山林だったとしましょう。国に返すために解体や測量で300万円払うと、それは「固定資産税の600年分」を一括払いするのと同じです。もちろん、将来の子供に迷惑をかけたくないという気持ちは尊いものですが、300万円を貯金して子供に残してあげたほうが喜ばれる場合もあります。「制度があるから使う」のではなく、支払うコストが将来の安心に見合っているかを数字で判断しましょう。
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相続土地国庫帰属制度のデメリットに関するよくある質問
制度について、現場で実際によく寄せられる悩みにお答えします。「自分の場合はどうなるの?」という疑問を解消し、損な選択をしないための知識を深めてください。国や役所は教えてくれない、利用者の目線に立った回答をまとめました。
Q1.どんなにボロボロでも、更地にさえすれば必ず国は引き取ってくれますか?
A.いいえ、更地にするのは「最低条件」に過ぎず、合格の保証はありません。建物がなくても、土壌汚染の疑いがある、地下に古い水道管が残っている、あるいは土地の中に大きな石やコンクリート片(ガラ)が埋まっていると判断されれば、不承認になります。また、現地調査で「管理に費用がかかりすぎる」と判断された崖地なども拒絶されます。更地にした後で不合格になると、解体費用だけを損することになるため、事前の調査が極めて重要です。
Q2.山林の境界がどこか分からないのですが、そのまま申請できますか?
A.申請できません。境界が不明な土地は、国は100%引き取りません。あなたが隣の土地の所有者と現地で会い、「ここが境目ですね」と確認し合い、その場所を写真や図面で証明する必要があります。もし隣の人が亡くなっていて、その子供たちがどこにいるか分からない場合、その調査だけで膨大な時間とお金がかかります。境界を確定させる責任を全て申請者に押し付けているのが、この制度の最も冷たいデメリットの一つです。
Q3.負担金が払えない場合、分割払いや免除の制度はありますか?
A.残念ながら、分割払いや免除の制度は一切ありません。国から承認通知が届いたら、定められた「負担金」を30日以内に現金で一括納付しなければなりません。もし期限までに支払えなければ、それまでの審査結果は全て無効になります。せっかく手数料を払い、1年近く待って合格をもらっても、最後にまとまった現金が用意できなければ全てが水の泡です。申請を検討する段階で、負担金を支払う余力が家計にあるかを確認しておきましょう。
まとめ:相続土地国庫帰属制度は「最終手段」。まずは専門家に「売却」の可能性を聞こう
相続土地国庫帰属制度は、決して「いらない土地を誰でも簡単に捨てられる制度」ではありません。多額の準備費用を払い、厳しい審査を勝ち抜いた「エリートな土地」だけが、最後にお金を払って国に引き取ってもらえる制度です。多くの人にとって、この制度はデメリットが大きすぎて、現実的な選択肢にならないのが2026年現在の実情です。もし土地を手放したいなら、まずは「本当に売れないか?」を不動産のプロに相談することをお勧めします。あなたが「価値がない」と思い込んでいる土地でも、隣の人や特定の需要を持つ人にとっては、価値ある資産になるかもしれません。私たちイエツグは、仲介手数料定額制と専門的な知見で、あなたが損をしないための最適な解決策を一緒に考えます。大金を払って国に返す前に、まずは一度、土地の未来について語り合ってみませんか。
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不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士