「なぜ、この家を売るんですか?」
買主から必ず聞かれるこの質問に、ドキッとしてしまう人は少なくありません。「離婚だから」「ローンが払えないから」「お隣さんが苦手だから」。そんな本当の理由を言えば、足元を見られて安く買い叩かれるのではないか、あるいは購入を見送られるのではないかと不安になるのは当然です。
しかし、正直に全てを話すことが正解とは限りません。売却理由には「法的に言わなければならないこと」と「言わなくてもいいこと」があります。この記事では、嘘をつかずにネガティブな印象を消す「賢い伝え方」を伝授します。あなたの家を、適正な価格で気持ちよく手放すための戦略を身につけましょう。
目次
結論:売却理由は「言うべきこと(義務)」と「言わなくていいこと(戦略)」がある
まず知っておくべきなのは、全ての理由を包み隠さず話す必要はないということです。法律上の義務があるかどうかで、対応を分けましょう。
1.【義務】物理的欠陥・事故物件・深刻な近隣トラブルは「告知義務」あり
家に欠陥がある場合や、住む人が明らかに不利益を被るような事情は、隠してはいけません。これを「告知義務」といいます。
例えば、雨漏りやシロアリ被害、過去に自殺や孤独死があった(事故物件)、近隣からの激しい嫌がらせがあるといったケースです。これらは買主の判断に重大な影響を与えるため、契約前に必ず書面で伝える必要があります。
2.【戦略】離婚・転勤・金銭的理由は「プライバシー」なのでオブラートに包んでOK
一方で、個人的な事情はプライバシーの範囲内であり、詳細を伝える義務はありません。
離婚、転勤、住宅ローンの返済苦、単に家が狭くなったといった理由は、家の品質には関係がないからです。これらは、嘘にならない範囲で「前向きな理由」に言い換えるのが賢い戦略です。わざわざ「離婚です」と言って、買主に気を使わせる必要はありません。
3.嘘は絶対NG!バレた時に「契約不適合責任」で損害賠償になるリスク
ただし、絶対にやってはいけないのが「嘘をつくこと」です。
雨漏りを知っていたのに「ありません」と嘘をついて売った場合、後からバレると「契約不適合責任」を問われ、損害賠償を請求されたり、契約を解除されたりするリスクがあります。特に近隣トラブルなどは、入居すればすぐに分かることなので、隠し通すことは不可能です。
「私のケースは告知義務にあたる?」
法的な判断が難しい売却理由も、専門家がリスクを診断します。
ネガティブな理由をポジティブに変換!ケース別「言い換え」テクニック
では、言わなくてもいいネガティブな理由は、どう伝えればいいのでしょうか。嘘をつかず、かつ印象を良くする「言い換え」の実例を紹介します。
1.離婚:「家族構成の変化による、それぞれのライフスタイルに合った住み替え」
「離婚」という言葉は使わず、「家族構成が変わった」と表現します。これなら結婚、出産、独立など様々な解釈ができ、嘘にはなりません。
「夫婦それぞれの仕事場に近い場所へ移るため」や「今の広さは必要なくなったため」と言えば、合理的で前向きな住み替えという印象を与えられます。
2.ローン返済苦・金銭:「将来を見据えた資産の組み換え」「サイズダウン」
「お金がない」と悟られると、大幅な値引きを要求されます。「子供の教育費にお金をかけたいので、住居費を見直すことにした」や「老後に備えて、コンパクトな家に移る(サイズダウン)」と伝えましょう。
これなら「計画的に人生を設計している人」というポジティブな印象に変わります。
3.狭い・不便:「より広い家へのステップアップ」「通勤利便性の向上」
「狭くて住みにくい」とそのまま言うと、物件の悪口になってしまいます。「家族が増えて手狭になったので、広い家へステップアップする」と言い換えましょう。
また、「駅が遠い」ではなく「通勤時間を短縮したい」と言えば、売主の個人的な事情として受け取ってもらえます。物件の価値を下げない言葉選びが重要です。
4.人間関係(軽度):「生活サイクルの違いによる環境の変化」
事件性のない軽微な人間関係の悩みなら、「生活リズムが合わないので、環境を変えたい」程度に留めます。
「静かな環境で暮らしたい」など、自分の希望を理由にすることで、特定の隣人を悪く言わずに済みます。ただし、警察沙汰になるレベルのトラブルは告知義務があるので注意してください。
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不動産会社にだけは「全て正直に」話すべき3つの理由
買主にはオブラートに包んでも、仲介を依頼する不動産会社には、洗いざらい正直に話してください。隠し事をすると、結果的にあなたが損をします。
1.事情を知らないと「買主への説明戦略」が立てられないから
不動産会社はあなたの味方です。本当の理由(離婚や金銭事情など)を知っていれば、「買主にはこう伝えましょう」と、最適なシナリオを用意できます。
事情を知らされていないと、営業担当者が買主からの質問にしどろもどろになったり、矛盾した説明をして不信感を買ったりする恐れがあります。
2.後からバレた場合、不動産会社もあなたを守りきれなくなるから
特に欠陥やトラブルを不動産会社にも隠していた場合が最悪です。売却後に発覚した際、不動産会社は「私たちも聞いていませんでした」と言うしかありません。
責任は全て売主であるあなたに降りかかります。事前に相談していれば、「重要事項説明書」に記載するなどの対策を講じ、法的リスクを回避できたはずです。
3.「いつまでに売りたいか」によって最適な販売手法が変わるから
離婚調停の期日や、競売の期限などが迫っているなら、販売戦略を急ぐ必要があります。
通常の売却(仲介)ではなく、不動産会社による「買取」を選んだ方が良いケースもあります。本当の事情と期限を共有することで、状況に合わせたベストな選択肢を提案してもらえます。
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内覧で「なぜ売るんですか?」と聞かれた時の神対応スクリプト
内覧の際、買主から直接質問されることがあります。慌てず、好印象を与える回答を用意しておきましょう。
1.【基本】「家自体はとても気に入っている」と前置きするのが鉄則
どんな理由であれ、まずは「この家はとても気に入っていて、愛着があるのですが…」と前置きしましょう。
売主が大切にしていた家だと分かれば、買主も安心して購入を検討できます。「嫌になって手放すわけではない」というニュアンスを伝えることが、最大のポイントです。
2.【回答例】ネガティブな要素を感じさせないスマートな受け答え
- 離婚の場合:「家族の状況が変わりまして、お互いの新しい生活に合わせて住み替えることにしました。」
- 金銭理由の場合:「子供の進学に合わせて、教育資金を優先するために住み替えを計画しました。」
- 狭い場合:「子供が大きくなり、もう少し部屋数が必要になったための前向きな住み替えです。」
このように、あくまで「ライフスタイルの変化」や「前向きな選択」であることを強調します。
3.答えにくい質問は「詳細は担当者から」とバトンタッチしてOK
もし突っ込んだ質問をされて返答に困ったら、無理に答えなくて大丈夫です。
「細かい事情につきましては、担当の方にお話してありますので、後ほど聞いていただけますか?」と笑顔でかわしましょう。プロである担当者が、後でうまくフォローしてくれます。
「家が古くて印象が悪い…」
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訳あり物件で「足元を見られる」のが怖いなら、仲介手数料を削って防衛せよ
ネガティブな理由がある場合、どうしても「値引き」を要求される場面が出てきます。そんな時は、売却にかかる経費を削ることで利益を守りましょう。
1.「売り急いでいる」と悟られると、買主から大幅な値引き要求が来る
「どうしても早く売りたい」「お金に困っている」と悟られると、買主は強気に出ます。「相場より200万円安くしてくれたら買います」といった交渉を持ちかけられるでしょう。
背に腹は代えられない状況なら応じるしかありませんが、そのままでは手元に残るお金が減ってしまいます。
2.値引きに応じる代わりに「仲介手数料」を節約して利益を確保する技
そこで見直すべきなのが、不動産会社に払う「仲介手数料」です。通常、3,000万円で売れたら約100万円の手数料がかかります。
もし手数料が安い会社を選んでいれば、その分を値引きの原資に充てることができます。例えば手数料が20万円で済むなら、80万円分の値引きに応じても、手元に残るお金は変わりません。
3.イエツグなら「定額182,900円」だから、値引き交渉の余裕が生まれる
イエツグの仲介手数料は、物件価格に関わらず定額182,900円(税別)です。
一般的な会社に比べて数十万〜百万円以上も手数料を抑えられるため、仮に買主から値引きを要求されても、余裕を持って対応できます。「理由あり」で弱気になりがちな売却でも、コスト削減があなたの強い味方になります。
「いくらで売れればローンを完済できる?」
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不動産売却理由の伝え方に関するよくある質問
最後に、よくある疑問にお答えします。トラブルを未然に防ぐために確認しておきましょう。
Q1. 仲介業者に「売却理由は伏せてほしい」と頼めますか?
A. はい、可能です。
個人的な事情については、買主に伝えないよう依頼できます。その場合、担当者は「売主様の個人的なご事情ですので」とスマートに断ってくれます。ただし、物理的な欠陥などは隠せません。
Q2. 近隣の騒音トラブルは、どの程度なら告知が必要ですか?
A. 「受忍限度」を超える場合は告知が必要です。
たまにうるさい程度なら不要ですが、警察に通報するレベルや、日常生活に明らかな支障が出るレベルなら告知すべきです。判断が難しい場合は、必ず不動産会社に相談してください。
Q3. 孤独死(自然死)があった場合、告知義務はありますか?
A. 原則として告知義務はありません。
事件性のない自然死や、発見が早く特殊清掃が不要だった場合は、国交省のガイドラインにより告知不要とされています。ただし、発見が遅れて特殊清掃をした場合は告知が必要です。
売却に関する不安や疑問は、FAQページでも詳しく解説しています。
トラブルを未然に防ぐために、ぜひご覧ください。
まとめ:嘘をつかず、表現を磨く。それが高値売却への近道
売却理由は、伝え方ひとつで武器にも弱点にもなります。
- 告知義務があること(欠陥や事故)は正直に伝える。
- プライバシーに関わること(離婚や金銭)はポジティブに言い換える。
- 不動産会社には全てを打ち明け、戦略を共有する。
- 値引きリスクには、仲介手数料の削減で備える。
「言いづらいこと」があるのは、あなただけではありません。プロと協力して適切な言葉を選べば、どんな物件でも納得のいく売却は可能です。一人で抱え込まず、まずはイエツグにご相談ください。あなたの事情に寄り添い、最善の売却プランをご提案します。
どんな理由でも、あなたの味方になります。
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不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士