不動産売買の手付解除期限はいつまで?「履行の着手」の判断基準と違約金回避ガイド

「契約したけれど、やっぱりやめたい…」

不動産の売買契約を結んだ後で、急な転勤や家族の事情、あるいはもっと良い物件が見つかったなどの理由で、契約を解除したくなることはあります。しかし、契約書にハンコを押した以上、ただでは済みません。

そこで重要になるのが「手付解除」です。手付金を諦めれば契約を白紙に戻せる制度ですが、これには厳格な「期限」があります。一歩間違えれば、数百万円もの違約金を請求される泥沼のトラブルに発展しかねません。この記事では、手付解除ができる期限のルールと、絶対にやってはいけないNG行動について、不動産のプロがわかりやすく解説します。

目次

結論:手付解除ができる期限は「相手方が履行に着手するまで」が原則

まず結論から言います。手付解除ができるのは、「相手が契約を進めるための具体的な行動(履行の着手)をする前」までです。

契約書に日付が書いてあっても、相手がすでに行動を起こしていれば、解除できない可能性があります。この基本ルールを詳しく見ていきましょう。

1.契約書に「手付解除期日」がある場合はどうなる?(早い方優先のルール)

多くの契約書には「〇月〇日まで手付解除ができる」という期日が記載されています。しかし、これは絶対的な期限ではありません。

一般的な契約では、「手付解除期日」と「相手方が履行に着手した日」の、どちらか早い方が期限となります。つまり、期日前であっても、相手が着手していれば解除はできません。逆に、相手がまだ何もしていなくても、期日を過ぎれば解除できなくなります。

2.期限内なら「手付放棄(買主)」か「倍返し(売主)」で無条件に解約可能

期限内であれば、理由を問わず契約を解除できます。その代償としてお金を払います。

  • 買主が解除する場合:支払った手付金を放棄する(返ってこない)。
  • 売主が解除する場合:受け取った手付金を返し、さらに同額を上乗せして支払う(手付倍返し)。

「お金さえ払えば、相手の合意がなくても一方的にやめられる」のが手付解除の大きな特徴です。

3.宅建業者が売主の場合は「買主に不利な特約」は無効になる

もし売主が不動産会社(宅建業者)で、あなたが個人の場合、法律であなたが守られます。

例えば「契約から3日過ぎたら手付解除できない」といった、買主に不利な特約は無効になります。この場合、業者が履行に着手するまでは、いつでも手付金放棄で解除が可能です。業者の作った契約書が絶対ではないことを覚えておいてください。

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これをやったら後戻り不可!「履行の着手」にあたる具体的な行動リスト

では、具体的に何をしたら「履行の着手」になるのでしょうか。これが解除できるかどうかの分かれ道です。裁判でもよく争点になるポイントを整理しました。

1.【買主側の着手】中間金(内金)の支払いは決定的!ローンの承認は?

買主にとっての「着手」とは、代金の支払いに関する行動です。

  • 中間金・内金の支払い:これは決定的な着手です。一部でも代金を払ったら、もう後戻りはできません。
  • 引越しの見積もり・家具の購入:これは単なる準備であり、着手とは認められません。
  • 住宅ローンの本審査承認:微妙なラインですが、一般的にはまだ着手とはみなされないケースが多いです。

2.【売主側の着手】登記必要書類の交付・分筆登記の申請・一部引渡し

売主にとっての「着手」は、物件を引き渡すための具体的な行動です。

  • 登記書類の交付:権利証や印鑑証明書を司法書士に預けた時点で、着手とみなされる可能性が高いです。
  • 分筆登記の申請:土地を分ける手続きなどを具体的に始めた場合も着手になります。
  • 鍵の引き渡し:もちろん、鍵を渡してしまえば完全に着手です。

3.【注意】測量や引越しの見積もりだけでは「着手」と認められないケースも

重要なのは、「客観的に見て、契約の履行に向けて踏み出したかどうか」です。

単に測量を依頼しただけ、リフォームの見積もりを取っただけでは、まだ準備段階と判断されることが多いです。「相手が測量したから解除できないと言われた」としても、諦めずに専門家に相談する余地はあります。

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期限を過ぎてから解除したい…待ち受ける「違約金」の恐怖

もし手付解除の期限(期日または履行着手)を過ぎてしまった場合、契約解除のハードルは一気に上がります。ここからは「契約違反」の世界です。

1.手付金放棄では済まない!売買代金の10%~20%の「違約金」が発生

期限を過ぎてからの解除は「違約解除」となります。この場合、手付金の放棄だけでは許されません。

契約書に定められた「違約金」を支払う必要があります。一般的には売買代金の10%〜20%です。3,000万円の物件なら300万〜600万円。手付金(例えば150万円)とは桁違いの金額を請求されることになります。

2.違約金を払えば必ず解除できるとは限らない(相手からの損害賠償請求)

さらに怖いのは、相手が「違約金はいらないから、契約通り家を買ってくれ(売ってくれ)」と裁判を起こす可能性があることです。

これを「特定履行の請求」といいます。違約金を払えば自動的に解約できるわけではなく、相手との合意が必要です。こじれると、時間も費用も莫大にかかります。

3.「住宅ローン特約」による白紙解除なら、期限後でも手付金は戻る

唯一の例外が「住宅ローン特約」です。これは、住宅ローンの審査に落ちた場合に、無条件で契約を白紙に戻せる特約です。

この場合、違約金はもちろんかかりませんし、支払った手付金も全額返ってきます。ただし、わざと審査に落ちるような行為(書類不備や新たな借金など)をすると、特約が認められないので注意してください。

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相手に解除させたくない!先手を打って契約を確定させるテクニック

逆に、「絶対にこの家が欲しい」「絶対に売りたい」という場合、相手に手付解除をさせないためのテクニックがあります。それは、自分からさっさと「履行に着手」してしまうことです。

1.買主なら「中間金」を期日より早めに支払ってしまう

あなたが買主なら、手付解除期日より前に「中間金」を売主に支払ってしまいましょう。売主が受け取れば、その時点で売主からの「手付倍返し解除」は封じられます。人気物件で、売主が心変わりしそうな時に有効です。

2.売主なら「登記書類」を司法書士に預けて、準備完了を通知する

あなたが売主なら、早々に権利証や印鑑証明書を司法書士に預け、「いつでも引き渡せます」と買主に通知(内容証明郵便など)します。これで買主からの「手付放棄解除」を防ぐことができます。

3.契約書の種類(FRK標準約款など)によって「着手」の効力が違う点に注意

ただし、使っている契約書のひな形によっては、「履行の着手に関わらず、期日までは解除できる」と書かれている場合があります(大手不動産会社が使うFRK契約書など)。

この場合、いくら着手しても期日が来るまでは解除を阻止できません。自分の契約書がどのタイプか、必ず確認してください。

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手付解除期限に関するよくある質問

最後に、現場でよくあるトラブルや疑問にお答えします。

Q1. 手付解除期日の「当日」は解除できますか?

A. はい、できます。

契約書に「〇月〇日まで」とあれば、その日の23時59分までは有効です。ただし、相手に通知が届く必要があるので、ギリギリになる場合は内容証明郵便を送るなど、証拠を残す対応が必要です。

Q2. 売主から「倍返し」の連絡が来ましたが、口座を教えないと拒否できますか?

A. 残念ながら、拒否するのは難しいです。

売主が「倍額のお金を用意して提供」すれば、買主の同意がなくても解除は成立します。口座を教えなくても、売主が法務局に「供託(お金を預ける)」すれば解除は有効になります。ゴネても契約は維持できません。

Q3. 手付解除の通知は口頭(電話)でも有効ですか?

A. 有効ですが、おすすめしません。

「言った、言わない」のトラブルになるからです。「電話で解除すると言ったのに、期限を過ぎてから『聞いてない』と言われ、違約金を請求された」というケースもあります。必ず書面(内容証明郵便)で行いましょう。

契約解除や違約金に関する疑問は、FAQページでも解説しています。
大きな損失を防ぐために、ぜひご覧ください。

よくある質問(FAQ)を見る

まとめ:解除期限は「日付」と「行動」で決まる。判断に迷ったら即相談を

不動産売買の手付解除は、タイミングが全てです。

  • 期限は「手付解除期日」か「相手の履行着手」の早い方。
  • 期限内なら手付金だけで解約できる。
  • 期限を過ぎると、数百万円の違約金が発生する。
  • 「中間金」や「登記書類」は後戻りできないサイン。

「まだ大丈夫だろう」という自己判断が、一番の命取りです。少しでも不安を感じたら、すぐにイエツグにご相談ください。契約内容を精査し、あなたの資産を守るための最善のアドバイスをいたします。

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