大切な資産である不動産の売却。「どうせ売るなら、1円でも高く、1日でも早く売りたい」と考えるのは当然です。しかし、不動産業界には売主のその想いを裏切る「囲い込み」という悪質な慣行が存在することをご存知でしょうか?
「囲い込み」をされると、より良い条件の買主に出会う機会を失い、結果的に安値での売却や売却期間の長期化といった事態を招きかねません。
この記事では、不動産売却で絶対に損をしないために、「囲い込み」の仕組みから、それを行わない誠実な不動産会社を見抜くための具体的なチェックポイント、担当者に直接使える質問リストまで、あらゆる自衛策を解説します。
最後まで読めば、「囲い込み」への不安が解消され、資産価値を最大化してくれる不動産会社を見抜く確かな知識が身につきます。
目次
そもそも不動産の「囲い込み」とは?あなたの資産価値を不当に下げる悪質な手口
不動産売却の成功は、信頼できる不動産会社を見つけることから始まります。しかし、残念ながら全ての会社が売主の利益を第一に考えているわけではありません。「囲い込み」は、会社の利益を優先する行為の代表例です。まずはその仕組みとリスクを正しく理解しましょう。
1.「囲い込み」の仕組みと目的を30秒で理解する
「囲い込み」とは、売却を依頼された不動産会社が、意図的に他の不動産会社に物件を紹介せず、自社だけで買主を見つけようとする行為です。
通常、売却物件は「レインズ」という不動産会社間のネットワークシステムに登録され、全国の不動産会社が買主を探せる状態になります。しかし囲い込みをする会社は、他社から購入希望の問い合わせがあっても、「すでに申し込みが入っています」などと嘘をついて断ってしまいます。
2. なぜ囲い込みは起こるのか?「両手仲介」という業界のカラクリ
囲い込みの最大の動機は、不動産会社が「両手仲介」を実現し、仲介手数料を売主と買主の双方から得ることです。
1つの売買契約で、売主と買主をそれぞれ別の不動産会社が担当する場合、各社は片方からしか手数料をもらえません(片手仲介)。しかし、1社が売主と買主の両方を見つければ、手数料も2倍になります(両手仲介)。この2倍の利益を得るために、他社を意図的に排除する「囲い込み」が行われるのです。
3. 囲い込みが招く、売主の3つの深刻なデメリット
囲い込みをされると、売主には主に3つの深刻なデメリットが発生します。
- 販売機会の損失:物件情報が広く公開されず、より高く買ってくれる買主と出会う機会を失います。
- 価格の下落:なかなか売れない状況が続くと、不動産会社から値下げを提案され、本来の価値より安く売却せざるを得なくなります。
- 売却期間の長期化:限られた範囲でしか買主を探さないため、売却までに時間がかかり、資金計画に狂いが生じます。
これらのデメリットは全て、売主の利益を損なうものです。
不動産売却に関する不安や疑問、まずはお気軽にご相談ください。
【実践編】囲い込みをしない誠実な不動産会社を見抜く7つのポイント
悪質な囲い込みから資産を守るには、契約前の段階で不動産会社をしっかりと見極めることが何よりも重要です。会社のウェブサイトを確認したり、担当者と話したりする際にチェックすべき、7つの具体的なポイントを解説します。
1. 会社のビジネスモデルを確認する(仲介手数料は定額制か?)
囲い込みの動機は、両手仲介による手数料の最大化です。そのため、このビジネスモデルに依存しない会社は、囲い込みをする可能性が低いと言えます。
例えば、イエツグのように仲介手数料を「定額制」としている会社は、物件価格に関わらず手数料が一定です。そのため、無理に両手仲介を狙うよりも、広く情報を公開してでも早く・高く売却し、顧客満足度を高めることを優先するインセンティブが働きます。
2. 「レインズへの即時登録」を公式サイトなどで公言しているか
レインズへの登録は、囲い込みを防ぐための最も基本的な仕組みです。宅地建物取引業法では、専任媒介契約の場合、契約から7日以内(専属専任は5日以内)の登録が義務付けられています。
誠実な会社は、このルールを遵守するのは当然として、「即時登録」「2〜3営業日以内に登録」など、迅速な対応をウェブサイト上で明確に約束しています。このような透明性の高い姿勢は、信頼できる会社の一つの証です。
3. 専任媒介契約でも他社からの紹介を歓迎する姿勢か
たとえ1社に売却を任せる専任媒介契約であっても、「他社様からのご紹介も大歓迎です」とはっきりと公言している会社を選びましょう。
これは、会社の利益(両手仲介)よりも、売主の利益(早期・高値売却)を最優先する姿勢の表れです。ウェブサイトの売却に関するページや、担当者との面談時にこの点を確認しましょう。
4. 査定価格の根拠が客観的か
相場よりも明らかに高すぎる査定価格を提示して契約を迫る会社は、囲い込みをする会社の典型的な手口です。
まずは高額査定で売主の期待を煽って契約し、その後、意図的に売れない状況を作り出して「反響がないので値下げしましょう」と誘導する手口です。査定価格の根拠を、周辺の成約事例などの客観的データに基づいて論理的に説明できる会社を選びましょう。
5. 過去の取引実績やお客様の声が正直に公開されているか
ウェブサイトに掲載されている「お客様の声」も重要な判断材料です。良い評価だけでなく、時には厳しい意見や、それをどう改善したかといったプロセスまで正直に公開している会社は、誠実である可能性が高いです。
特に「思ったより早く売れた」「たくさんの内見があった」といった声が多い場合は、広く情報公開を行っている証拠とも言えます。
6. 広告活動の計画を具体的に説明できるか
媒介契約を結んだ後、どのような広告活動を行ってくれるのか、その計画を具体的に説明できるかもチェックポイントです。
レインズへの登録はもちろん、SUUMOやHOME’Sといった大手不動産ポータルサイトへの掲載、新聞折り込みチラシの配布など、多角的な広告戦略を持っている会社は、広く買主を探す意欲が高いと判断できます。
7. 「レインズ登録証明書」の発行を約束してくれるか
レインズに物件を登録すると、それを証明する「登録証明書」が発行されます。これは、売主が囲い込みをされていないかを確認するための最も確実な証拠です。
媒介契約を結ぶ前に、「契約後、レインズに登録したらすぐに登録証明書をいただけますか?」と質問しましょう。この問いに対して、「もちろんです」と快く答えてくれる会社を選びましょう。
イエツグを利用したお客様のリアルな声をご確認ください。
なぜ仲介手数料定額制の会社は囲い込みをしないのか?
多くの不動産会社が上限いっぱいの仲介手数料(物件価格×3%+ 6万円)を設定する中、なぜイエツグのような定額制の会社は囲い込みをする必要がないのでしょうか。その理由は、ビジネスモデルの根本的な違いにあります。
1. 利益の源泉が「両手仲介」に依存していないから
最大の理由は、会社の収益構造が「両手仲介ありき」で設計されていないことです。
一般的な不動産会社は、高額な広告費や多数の営業社員の人件費を、両手仲介による手数料収入で賄おうとします。しかし、手数料定額制の会社は、広告費や人件費を徹底的に効率化しています。そのため、無理に両手仲介を狙わなくても、片手仲介で十分に事業が成り立つビジネスモデルを確立しているのです。
2. 「高く・早く売る」ことが会社の評判に直結するから
手数料定額制という特徴的なサービスは、口コミや紹介によって顧客を獲得することが非常に重要です。
もし囲い込みをして売却が長期化したり、価格が下がったりすれば、「安かろう悪かろう」という悪評がすぐに広まってしまいます。逆に、広く情報を公開し、顧客の不動産を「高く・早く売る」ことで良い評判が生まれ、それが次の顧客に繋がります。顧客満足度を高めること自体が、最も効果的な広告戦略なのです。
3. 売主の利益を最大化することが、ビジネスモデルの根幹だから
そもそも、仲介手数料定額制というサービスは、「売主の負担を少しでも減らし、手元に残るお金を最大化してほしい」という思想から生まれています。
この思想と、会社の利益のために売主の機会を奪う「囲い込み」は、全く相容れません。売主の利益を最大化するという目的を達成するためには、囲い込みをせず、あらゆる可能性を追求して最高の買主を見つけることが必然となります。
イエツグが仲介手数料定額制を実現できる理由を詳しく解説しています。
担当者に直接確認!囲い込みを100%防ぐための魔法の質問リスト
不動産会社との媒介契約は、いわば売却活動のパートナーシップを結ぶ契約です。契約前に担当者と対話し、囲い込みをしない意思を確認することが重要です。面談時にそのまま使える、4つの効果的な質問を紹介します。
1.「レインズにはいつ登録していただけますか?」
法律上の期限(専任なら7日以内)を答えるだけでなく、「契約後、2〜3営業日以内には登録し、すぐにご報告します」といった、より迅速で具体的な回答を引き出せるかがポイントです。スピード感のある回答は、情報を隠さずオープンにする姿勢の表れです。
2.「他社から購入希望のお客様を紹介された場合、もちろん対応していただけますよね?」
これは核心に迫る質問です。「もちろんです。売主様の利益が第一ですから、条件の良いお客様であればどの会社からでも歓迎します」という回答が満点です。もし少しでも歯切れが悪かったり、自社で見つけるメリットばかりを強調したりするようであれば、注意信号です。
3.「どのような広告活動を計画していますか?活動報告はいただけますか?」
この質問に対して、レインズ登録以外にも、不動産ポータルサイトへの掲載やチラシ配布など、多角的な広告プランを具体的に示せるかを確認します。さらに、「週に一度、メールで活動状況を報告します」といった、定期的な報告(業務処理状況の報告)を約束してくれるかどうかも重要な判断基準です。
4.「レインズの登録証明書は、登録後すぐにいただけますか?」
最後の砦となる質問です。この質問に「はい、速やかにお渡しします」と即答できない会社は、絶対に選んではいけません。登録証明書の発行は法律で義務付けられており、これを渋る理由は何一つないはずです。誠実な会社であれば、何もためらうことなく約束してくれます。
専門スタッフに直接質問したい方は、お電話でのご相談がスムーズです。
→ お客様専用ダイヤル 0800-222-1829
もしかして…?囲い込みが疑われる場合の3つの対処法
細心の注意を払って会社を選んでも、「もしかして囲い込みされているかも?」と不安になることがあるかもしれません。そんな時に冷静に対処できるよう、具体的な確認方法と対処法を知っておきましょう。
1. レインズの稼働状況を自分で確認する(または他の不動産会社に依頼する)
最も確実な方法は、知り合いの不動産会社や、セカンドオピニオンとして相談した別の会社に、レインズで自分の物件がきちんと公開されているか、また「紹介可能」な状態になっているかを確認してもらうことです。もし「商談中」などのステータスになっていれば、囲い込みの可能性があります。
2. 担当者に広告活動の具体的な報告を書面で求める
電話や口頭ではなく、「これまでの広告活動の実績と、問い合わせ状況について、書面で報告してください」と正式に要求しましょう。専任媒介契約の場合、宅建業法で2週間に1回以上(専属専任は1週間に1回以上)の報告義務があります。この要求に対して誠実に応じない場合は、問題がある可能性が高いです。
3. 契約期間の満了をもって媒介契約を更新しない
媒介契約の期間は最長で3ヶ月です。囲い込みの疑いが晴れない、または担当者の対応に不信感がある場合は、契約期間が満了するタイミングで契約を更新せず、別の不動産会社に切り替えましょう。売主には、契約を更新しない権利があります。
その他、不動産売却に関するトラブルは「よくある質問」もご参照ください。
「囲い込み」に関するよくある質問
最後に、「囲い込み」に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。より深い知識を身につけ、万全の体制で不動産売却に臨みましょう。
Q1. 大手不動産会社は囲い込みをしやすいというのは本当ですか?
A. 一概には言えませんが、その構造を持っているとは言えます。大手は多くの店舗と営業社員を抱えているため、社内で買主を見つけやすく、「両手仲介」を組織的に推奨しているケースがあります。もちろん、全ての担当者がそうではありませんが、会社の方針としてその傾向がある可能性は、中小の会社よりは高いと考えられます。
Q2. 「専属専任媒介契約」を結ぶと囲い込みされやすいですか?
A. 理論上は、そのリスクが最も高い契約形態です。1社にしか依頼できず、さらに自分で買主を見つけることも禁じられているため、不動産会社が情報をコントロールしやすい状況になります。だからこそ、「レインズ登録証明書」の確認や定期的な活動報告のチェックが、他の契約形態以上に重要になります。
Q3. レインズ登録証明書をもらえなかったらどうすればいいですか?
A. 明らかな法律違反ですので、まずは担当者に強く要求してください。それでも応じない場合は、その不動産会社が加盟している宅建協会や、都道府県の不動産業課などの監督行政庁に相談しましょう。悪質な業者の可能性が高く、媒介契約の解除も視野に入れるべきです。
イエツグのサービス内容について、改めて詳しく確認してみましょう。
→ サービス内容
まとめ:正しい知識で自衛し、売主の利益を最優先する不動産会社を選ぼう
今回は、不動産売却における「囲い込み」の実態と、それを行わない誠実な不動産会社の見分け方について詳しく解説しました。
大切な資産の売却で損をしないためには、不動産会社任せにせず、売主自身が正しい知識で自衛することが不可欠です。会社のビジネスモデルを理解し、担当者の姿勢を見極め、そして「レインズ登録証明書」という確かな証拠を手にすることで、囲い込みのリスクは限りなくゼロに近づけられます。
この記事で得た知識を武器に、あなたの利益を最大化するために全力で動いてくれる、最高のパートナーを見つけてください。
あなたの不動産売却を成功に導くパートナーとして、イエツグが全力でサポートします。まずはお気軽にご相談ください。














不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士