空き家に火災保険は必要?入れないってホント?

「転勤によって一定期間住まなくなった」「相続で親が住んでいた家を取得した」などの理由で、空き家を所有するケースは珍しくありません。所有している空き家のために、火災保険へ加入すべきか迷っている方は多いのではないでしょうか。

空き家にとって、火災保険の必要性は高いです。しかし空き家は、人が居住している物件とは異なり、火災保険に加入しにくい傾向にあります。

本記事では、空き家を所有している人が火災保険に加入する必要性や、保険料を抑える方法をわかりやすく解説していきます。

この記事でわかること
  • 空き家が火災保険に加入する必要性
  • 空き家を補償対象とする火災保険が少ない理由
  • 空き家を活用する方法
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役 不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。 保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

空き家は火災保険に加入する必要性が高い

空き家にとって火災保険の必要性が高い理由は、火災が発生した場合に、残存物の片付け費用や近隣住民へのお見舞い金で、数百万円の支払いが発生する恐れがあるためです。

「空き家は、人が住んでいないから火災が起きないだろう」と考えている人もいらっしゃるかもしれません。しかし空き家は、チラシのような火が付きやすいものがあるため、放火によって火災が発生するリスクが高いのです。

また許可なく空き家に住み着いた人が起こした火の不始末や、物件からの漏電などで、火災が発生するケースもあります。 

火災保険に加入していると、所有している空き家で火災が発生した場合、片付け費用やお見舞金、再建築費用などを保険金で支払えます。転勤で一時的に住まいが空き家となっている場合では、火災で燃えてしまったあとの住宅の再建築費用を火災保険の保険金で賄うことも可能です。

出火元への損害賠償請求は法律で禁止されている

「火事の原因が隣の家であれば、損害賠償を請求すれば良い」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、近隣住宅からの失火が原因で所有する空き家が燃えてしまっても、出火元に重い過失がない限り損害賠償は請求できません。失火責任法という法律で、禁止されています。

所有する空き家が出火元ではない火災に備えるためにも、火災保険に加入する必要性は高いといえるでしょう。

一方で、所有する空き家が出火元である場合、失火責任法があるからといって安心はできません。空き家の管理が行き届いていないと、重過失とみなされて、近隣の住民から損害賠償を請求される恐れがあるためです。

空き家の火災保険料の相場は?補償対象外の保険会社も多い

空き家にとって、火災保険の必要性は高い一方です。しかし実は、空き家が加入できる個人用の火災保険を取り扱っている保険会社は、あまり多くありません。空き家は、以下のように火災が発生しやすいだけでなく被害も拡大しやすいためです。

  • 失火が発生しても発見されづらい
  • 建物の老朽化により被害が拡大しやすい など

また空き家が加入できる保険会社を見つけたとしても、居住用の物件が火災保険に加入するときよりも、保険料相場は高くなるのが一般的です。

空き家は、火災保険の契約上は居住用とみなされず、店舗や事業所と同じく「一般物件」とみなされるケースが多いです。

空き家が一般物件とみなされた場合、事業者向けの火災保険であれば加入できる可能性はあります。しかし保険料の相場は、居住用物件を対象とした火災保険よりも割高とな場合がほとんどです。

また一般物件は、原則として地震保険に加入できません。地震によって発生した火災や津波で空き家が損害を受けたとしても、火災保険から保険金は支払われず、修理費用や片付け費用を自己負担する必要があります。

空き家でも個人用の火災保険に加入できる場合がある

空き家であっても、以下のようなケースでは、居住用の住宅とみなされて個人用の火災保険に加入できる可能性があります

  • 別荘のように毎年定期的に利用しており家財が常時備えられている物件
  • 転勤で一時的に家を空けており、将来的に居住する予定の物件
  • 親から相続した物件で管理する目的で定期的に寝泊まりをしている物件

実際に、東京海上日動や損保ジャパンのホームページには、空き家の取り扱いについて以下のように記載されています。

※画像引用:東京海上日動
※画像引用:損保ジャパン

このように空き家が別荘とみなされると、個人用の火災保険に加入できるケースが多いです。

一方で、メンテナンスされておらず人が住めない物件や、水道や電気などが開通していない物件は、一般物件とみなれず居住用物件向け火災保険への加入は難しいでしょう。

居住していた物件が空き家になった場合

物件に居住する人がいなくなって空き家になる場合、火災保険を契約している保険会社に連絡をしましょう。保険の契約者には、契約内容に変更があった場合に、保険会社へ通知する義務があるためです。

保険会社に変更を通知をしていなかった場合、空き家となった物件で火災が発生しても、保険金が支払われない恐れがあります。

空き家の火災保険料を抑える方法

では、空き家を保険の対象にして火災保険に加入する場合、保険料を抑えるにはどのようにすればよいのでしょうか?ここでは、火災保険を選ぶときのポイントを2つご紹介します。

複数の保険会社に保険料の見積もりを依頼する

保険会社によって、火災保険の保険料設定が異なります複数の保険会社に見積もりを依頼することで、もっとも保険料負担を抑えられる火災保険が見つかりやすくなるでしょう。

また火災保険の引受基準や、空き家の判断基準も保険会社によって異なります。「A社では加入を断られたが、B社では加入できた」といったケースも考えられるため、諦めずにできるだけ多くの保険会社に相談することが大切です。 

必要な補償を選んで加入する

所有する空き家が抱えるリスクに応じた補償内容を選ぶことで、火災保険料を抑えられる可能性があります。物件が建っているエリアのハザードマップを必ず確認し、必要な補償を選びましょう

たとえば、ハザードマップを確認した結果、物件に洪水や水害のリスクがないのであれば、水災補償を外して契約できます

ただし補償額を抑えて火災保険に加入するのは、あまりおすすめできません。補償額を抑えて火災保険に加入すると、損害の発生時に受け取れる保険金が少なくなり、片付け費用や再建築費用などを賄えない恐れがあるためです。

空き家のまま放置しないことが大切

損害保険会社から居住用物件とみなされる可能性の低い空き家の所有は、火災保険に加入しづらいだけでなく、安全面や税負担の面でさまざまなリスクがあります

たとえば空き家を、住まいとして利用できないまま放置すると、以下のような被害が発生するかもしれません。

  • 害獣や害虫の侵入
  • 老朽化による建物の倒壊
  • 景観や治安の悪化

また、建物に倒壊の恐れや保安上の危険があり特定空き家とみなされると、住宅用地の特例が適用されなくなり、土地部分の固定資産税が6倍となります。

そのため、将来的に居住する可能性のない空き家を所有しているのであれば、賃貸物件として第三者に貸出したり、物件を売却したりする選択も考えてみてはいかがでしょうか

弊社イエツグの「空き家再生事業」では、オーナー様の費用負担0円で物件をリフォームしたうえで、賃貸物件として空き家を活用いただけます。

入居者の募集や管理も、すべてイエツグが代行。入居者が見つかった場合は、イエツグからオーナー様に家賃をお支払いいたします。空き家の管理に困っている方は、イエツグまでお気軽にご相談ください。

まとめ:空き家にとって火災保険の必要性は高いが加入できない場合が多い

空き家は、放火や不審者の火の不始末による火災が発生しやすく、発見が遅れて被害や損害が拡大しやすいです。よって、火災保険に加入する必要性は高いといえるでしょう。

別荘として定期的に利用できるよう、家財が置かれているような空き家は、居住用物件物件として火災保険に加入できます。しかし、将来的に入居する見込みがない空き家は、火災保険への加入が難しいかもしれません。

空き家をご自身や家族が利用できず、今後も居住する予定がない場合は、賃貸物件に整備して貸し出したり、物件を売却したりする方法があります。金銭的な負担が膨らんだり、被害が発生したりする前に、ご自身にとって最適な解決策を考えることが大切です。

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。

監修者 品木彰
監修者 小林だいさく金融ライター、ファイナンシャルプランナー。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。

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