空き家対策特別措置法をわかりやすく解説!放置すると行政指導の対象となるかも

適切に管理されていない空き家は、犯罪やトラブルなどが発生する原因となります。管理不十分な空き家の増加を防止する目的で、2015年5月に施行されたのが「空き家対策特別措置法です。

空き家を所有している方は、空き家対策特別措置法の内容を把握し、適切に管理をしないと自治体による行政指導の対象となる可能性があります。また、行政指導に従わない場合は、強制的に建物が解体される恐れもあるのです。

本記事では、空き家等対策特別措置法の内容についてわかりやすく解説します。空き家を所有し、管理に困っている方はぜひご一読ください。

この記事でわかること
  • 空き家対策特別措置法の内容
  • 空き家を放置すると固定資産税が増える理由
  • 空き家の管理方法や売却方法
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役 不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。 保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

空き家対策特別措置法の内容をわかりやすく解説

空き家対策特別措置法(空家等対策の推進に関する特別措置法)とは、空き家の適切な管理を促進するために施行された法律です。空き家が適切に管理されていない場合、自治体は所有者や管理者に対して、勧告や命令などの行政指導ができます。

空き家等対策特別法が施行されるまでは、各自治体が条例を制定して、管理が不十分な空き家を規制してきました。

しかし、条例には法的拘束力がありません。自治体が空き家の管理を依頼しても「所有者の居住地と空き家の距離が離れている」「解体費用や処分費用を捻出できない」などの理由で、管理が放置されたままとなるケースは少なくありませんでした。

また、自治体の職員とはいえ、所有者の許可なく空き家に立ち入ると不法侵入になります。そこで管理不十分な空き家を法的に規制するために、空き家対策特別措置法が施行されたのです。

空き家対策特別措置法により空き家の法的な規制が可能に

空き家対策特別措置法では、管理が行き届いていないと思われる空き家に対し、自治体職員や委任を受けた建築士、土地家屋調査士などによる調査が可能です。所有者の許可は、必要ありません。

調査の結果、以下のような一定の危険性があり「特定空き家等」と認定された場合、所有者に対して改善の指導や命令を出せるようになりました。

特定空き家等に指定される条件
  • そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

引用:空家等対策の推進に関する特別措置法

特定空き家等を解除するためには、指定される要因となった不適切な箇所を改善する必要があります。

「特定空き家等」に認定された場合に実施される行政指導

特手空家等に認定された場合の行政指導には、以下の種類があります。

  • 助言
  • 指導
  • 勧告
  • 命令

「助言」とは、自治体が空き家の適正な管理を求めることです。もし所有者が助言にしたがわない場合や、空き家に早急な改善が必要である場合、市町村から管理方法を「指導」され、空き家の適正な管理がより強く促されます。

指導をしても空き家の状況に改善が見られない場合は、市町村から「勧告」が行われます。自治体から勧告が出された場合、空き家が近隣の住民に大きな被害をもたらす恐れが高い状態であると想定されるため、早急に改善をしなければなりません

勧告に従わない所有者に対して出されるのが「命令」です。空き家の所有者や管理者が命令を違反した場合、50万円以下の過料に処される可能性があります。

空き家対策特別措置法では自治体による「行政代執行」が認められている

住宅ローン申請で悩む人

行政代執行とは、改善が命令された空き家に変化が見られない場合に、自治体が所有者に代わって以下のような対策を取ることをいいます。

  • 建物の解体
  • 樹木の伐採
  • ゴミの撤去

解体や処分にかかった費用は、所有者に請求されるため、自治体が費用を肩代わりしてくれるわけではありません。

ご自身で建物の解体やゴミの撤去などを行う場合、インターネットで費用が安い業者を探して手配することが可能です。しかし行政代執行では、自治体が業者を選ぶため、費用が高額になる恐れがあります。

特定空き家等と認定され、自治体から行政指導されたにもかかわらず改善しない場合、行政代執行によって強制的に対処される恐れがあります。特定空き家等と認定された場合は、近隣への被害が拡大する前に、速やかに状況を改善しましょう

「特定空き家等」に認定されると固定資産税が最大6倍になる可能性が

空き家を管理せずに放置し、特定空き家等と認定されて自治体から勧告以上の行政指導を受けると、固定資産税や都市計画税の負担が増加します。土地部分の固定資産税や都市計画税に、「住宅用地の特例」が適用されなくなるためです。

住宅用地の特例とは、土地が家屋用として利用されている場合に、税負担が軽減される制度。土地部分の固定資産税や都市計画税を計算するときに、以下の特例率が適用されます。

 固定資産税都市計画税
200㎡以下の部分1/61/3
200㎡超の部分1/32/3

建物を解体して更地にすると、住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税や都市計画税の負担が増えてしまいます。そのため、あえて建物を解体しない選択をする所有者もいるのです。

しかし特定空き家等と認定されて、市町村から勧告や命令を受けた場合、更地にしたときと同じように「住宅用地の特例」が適用されなくなり、税負担が最大で6倍になる恐れがあります。

空き家は適切な管理が必要

所有する空き家が特定空き家等とみなされないようにするためには、適切な管理を心がけることが大切です。

自分自身で空き家を管理する場合は、最低でも月に1度の頻度で、換気や通水、ポストに溜まったチラシなどの整理を行いましょう

もし所有している空き家の自己管理が難しい場合は、防犯会社や管理会社に空き家の管理を依頼する方法もあります。

とくに管理会社は、建物の換気や通水だけでなく、ごみ処理や郵便物の整理、クレームの一時対応も行ってくれます。所有する空き家と居住地の距離が離れている場合は、費用をかけてでも管理会社に依頼したほうが安心でしょう

空き家の管理が難しい場合は「売却」や「賃貸」を選択する

将来的に誰も居住する予定のない空き家を所有している場合は、売却したり賃貸に出したりする方法もあります。

空き家であっても一般的な住宅と同じく、不動産会社に買主を探してもらう仲介で売却できる可能性はあります。もし仲介での売却が難しい場合は、不動産会社に買い取ってもらうのも一つの方法です。

建物が原因で売却しにくいのであれば、更地に戻してからの売却する方法もあります。解体費用を補助してくれる自治体もあるため、市町村の担当窓口に相談してみましょう。

また、建物をリフォームして賃貸物件に出す方法もあります。空き家を賃貸物件化して、借主が見つかれば、賃料収入を得られて収入源を一つ増やせます

空き家の管理や処分、活用は、もっとも利益のある手段を選択することが大切です。空き家の管理方法は、以下の記事に詳しくまとめておりますので、ぜひご一読ください。

空き家を所有している人はイエツグにご相談ください

空き家にとって「管理」「売却」「賃貸」のどれが適切かは、物件の状態や建っているエリアによって異なります。しかし不動産についての専門的な知識がない方が、適切な選択をするのは難しいはずです。

もしあなたが、空き家の管理方法に迷われているのであれば、弊社イエツグにご相談ください。イエツグでは、以下のプランの中からお客さまが所有する空き家にもっとも適した方法をご提案いたします。

  • 空き家の買い取り
  • 売却+リフォーム:空き家をリフォームして売却 
  • 空き家再生事業:空き家をリフォームして賃貸物件として貸し出す

空き家をリフォームして売却したり貸し出したりする場合、所有者様がリフォーム費用を負担する必要はありません。また空き家再生事業では、入居者の募集から管理までイエツグが責任をもって担当いたします。

まとめ:空き家対策特別措置法は管理不十分な空き家を減らすための法律

空き家対策特別措置法が施行されたのは、管理不十分な空き家の減少が目的です。空き家の管理が行き届いておらず、周辺の住環境に悪影響を与える恐れがある場合、特定空き家等と認定されて、自治体からの行政指導の対象となります。

また特定空き家等と認定されて、勧告以上の行政指導を受けると、固定資産税や都市計画税が増える可能性があります。行政指導に従わない場合、最終的には自治体によって強制的に建物が解体されるかもしれません。

行政指導や処分の対象とならないためには、空き家を適切に管理する必要があります。もし空き家の管理が難しいのであれば、売却したり賃貸に出したりするのも選択肢の一つです。管理が難しいからといって放置せず、状況に応じた適切な対策をすることが大切です。

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。

監修者 品木彰
監修者 小林だいさく金融ライター、ファイナンシャルプランナー。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。

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