住宅ローンを組むと、住宅ローン控除を受けられるのは広く知られています。実はリフォームローンを組んだ場合も、リフォームローン減税(控除)によって税負担を軽減できる可能性があるのです。
また、リフォームをした場合に適用できる控除制度は、1種類ではありません。加えて所得税や住民税だけでなく、固定資産税を減額してもらえる場合もあります。
そこで今回は、リフォームを実施した場合に受けられる控除制度について、わかりやすく解説していきます。
- リフォームローンを組むと受けられる控除制度
- リフォームによって負担を軽減できる税金の計算方法
- 控除制度を受けるための方法
【動画目次】
00:00 はじめに
00:59 ①リフォームで適用できる控除制度
02:01 ②れぞれの控除制度適用の条件と控除額 ~リフォームローン控除~
05:04 ②それぞれの控除制度適用の条件と控除額 ~住宅ローン控除~
07:57 ②それぞれの控除制度適用の条件と控除額 ~投資型減税~
08:38 ③確定申告と必要書類
09:56 ④固定資産税の減税
10:44 今回のまとめ
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
リフォームで適用できる控除制度
リフォームをすると、以下のような控除制度を適用して、税負担を軽減できる可能性があります。
- リフォームローン控除
- 住宅ローン控除
- 投資型減税
また、これらの控除制度を適用できる要件はそれぞれ異なりますが、以下は共通しています。
要件 |
|
入居開始日 | 住宅を取得した日もしくは増改築が終わった日から6か月以内 |
所得制限 | 控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下 |
床面積 | 住宅の床面積が50㎡以上で、床面積の1/2が借り入れた本人の居住用 |
特例の適用 | 居住を開始した前後の2年ずつの5年間に、長期譲渡所得の課税の特例などを適用していない |
ただし、これらの減税制度は、全ての適用条件を満たしていたとしても、一つしか適用できない点に注意しましょう。
リフォームローン控除を受けるための条件と控除額
リフォームローン控除(特定増改築等住宅借入金等特別控除)とは、リフォームローンを組み所定の条件を満たしてバリアフリー改修工事や省エネ改修工事などを行った場合に、受けられる控除制度です。控除額は、以下の計算式で求められます。
控除額=A×2%+(B-A)×1%
A:借入金等の年末残高のうちバリアフリー改修工事や省エネ改修工事に要した費用の額の合計額に相当する部分の金額(最高 250 万円)
B:借入金等の年末残高の合計額(最高 1,000 万円)
つまり、バリアフリーや省エネの改修工事に相当する費用の2%と、それ以外のリフォーム費用の1%が控除してもらえるのです。
控除額は、最大で年間12.5万円までとなります。リフォーム減税を受けられる期間が5年間ですので最大で62.5万円まで控除してもらえることになります。
リフォームローン控除の要件
リフォームローン控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- リフォームローンの借入期間が5年以上
- 改修工事の費用が補助金等を差し引いて50万円超
- 控除の適用を受ける年の12月31日まで引き続き居住している
工事を行う人 | 工事の内容 |
以下のいずれかに当てはまる方
・50歳以上の方 |
・通路や出入り口の拡大 ・階段の設置や勾配の緩和 ・浴室または便所の改良 ・手すりの備え付け ・段差の解消・出入口の戸の改良 ・滑りにくい床材料に取り替え |
※50歳、65歳および同居の判定は、居住年の12月31日
一方で、リフォームローン控除の対象となる省エネ工事とは、以下のような工事を指します。
- 全ての居室の全ての窓で行う断熱改修工事
- 1.と併せて行う床や天井、壁の断熱工事
- 改修した部分がいずれも現状から一段階以上上がり平成28年省エネ基準に適合している
リフォーム費用は住宅ローン控除の対象
中古住宅を購入してリフォームをする場合、住宅の購入費用とリフォーム代を1つの住宅ローン契約にまとめられることがあります。その場合、リフォーム費用も住宅ローン控除の対象となります。
ただし住宅ローン控除を受けるためには、借入額が100万円以上、かつ借入期間が10年以上の住宅ローンを組まなければなりません。また、住宅ローン控除の適用を受ける年の12月31日まで、居住する必要があります。
住宅ローンの控除額
住宅ローン控除の控除額は、年末時点におけるローン残高の1%です。たとえば、年末時点の住宅ローン残高が3,200万円であった場合、32万円が所得税から差し引かれます。
もし所得税額が控除額よりも少なかった場合、余った部分は住民税から差し引かれます。ただし住民税から差し引かれる金額は、所得税の課税所得金額の7%までです(上限136,500円)。
また住宅ローン控除の控除限度額は年間40万円ですが、長期優良住宅を購入した場合は年間50万円となります。
住宅ローン控除の控除期間
住宅ローン控除の控除期間は、入居した年から10年間です。ただし以下の条件を満たすと、控除期間が13年に延長されます。
- 消費税10%が適用される住宅の購入、もしくは増改築工事の実施
- 2021年12月末までに取得した住宅に居住を開始する
投資型減税はローンを組まないリフォーム費用も対象
投資型減税(認定住宅新築等特別税額控除)は、物件に所定の要件を満たす省エネや耐震、バリアフリーなどのリフォームをした場合に受けられる控除制度です。リフォームローンを組まずに、現金で一括購入した場合も適用できます。
投資型減税の控除額を計算する方法は、以下の通りです。
控除額=(住宅の床面積×43,800円/㎡(上限650万円))×10%
※最大65万円
たとえば床面積が60㎡の場合、262,000円(60㎡×43,800円×10%)が所得税から控除されます。
もし控除枠が余った場合は、翌年の所得税から控除が可能です。たとえば、所得税が20万円であった場合、262,000円から20万円を引いた62,000円が、翌年の所得税から控除されます。
控除を受けるには必要書類を揃えて確定申告が必要
リフォームをして控除を受けるためには、職業にかかわらず確定申告をしなければなりません。確定申告に必要な書類は、申請する控除制度によって異なります。
たとえば、リフォームローン控除の申請に必要な書類は、以下の通りです。
- 確定申告書
- 住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
- 増改築等工事証明書
- 介護保険の被保険者証の写し
※バリアフリー改修をした場合
給与所得の源泉徴収票は、2019年4月1日から確定申告書の作成にのみ必要で、原本を添付する必要はなくなりました。
確定申告の期間は、毎年2月16日〜3月15日ごろです。また給与所得者がリフォームローン控除と住宅ローン控除を受ける場合、初年度のみ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で申告できます。
リフォーム工事をすると固定資産税の減税を受けられる場合がある
リフォーム工事を行った場合、実施した工事の種類に応じて固定資産税から一定金額を控除してもらえます。リフォームローンや住宅ローンを組む必要は、ありません。
リフォームの種類 | 上限控除額 |
耐震リフォーム | 固定資産税額の1/2(120㎡相当分まで) |
バリアフリー改修 | 固定資産税額の1/3(100㎡相当分まで) |
省エネ改修 | 固定資産税額の1/3(120㎡相当分まで) |
長期優良住宅化 | 固定資産税額の2/3(120㎡相当分まで) |
控除が受けられるのは、工事が終了した翌年の1年です。
ただし固定資産税の控除を受けるためには、リフォーム工事が2022年3月31日までに終わっていなければなりません。また、改修費用から国や地方自治体からの補助金を差し引いた金額が、50万円を超えているリフォーム工事が控除の対象です。
まとめ:リフォームローンを組むとさまざまな控除を受けられる
リフォームローンを組むと、住宅ローン控除やリフォームローン控除、投資型減税などさまざまな控除制度を受けられる可能性があります。
ただし、これらの控除制度はどれか一つしか選択できません。複数の控除制度の要件に当てはまる場合は、ご自身にとって有利な控除制度を選択しましょう。
また、リフォームをする場合、住宅ローンを組むのか、リフォームローンを組むのか、リフォーム代を現金で支払うのか、ご自身で判断しなければなりません。住宅は人生の中で何度も購入するものではないため、ご自身だけでの判断は難しいのではないでしょうか?
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