不動産売買の仲介手数料は法律でどう規定されている?上限額についてわかりやすく解説!

不動産売買時に支払う仲介手数料は、不動産会社が好き勝手に値付けをしたり、請求したりしていいものではありません。仲介手数料はまず、「上限額」が法律で規定されています。その他にも、消費税のことや「空き家」にかかる仲介手数料についても、細かい規定があるのです。

本記事では、仲介手数料に関する以下の疑問に対してお答えいたします。

この記事でわかること
  • 仲介手数料の上限額は?
  • 仲介手数料っていつ支払うもの?
  • 仲介手数料が改正したって聞いたけど?

不動産売買時の仲介手数料が法律でどう規定されているか知りたい方は、ぜひ当ページを参考にしてくださいね!

執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

仲介手数料は法律で「上限額」が決められている!


不動産取引には、「宅建業法」という法律が深く関わっています。

宅建業法とは、公平な取引を行うために不動産会社が守るべき法律です。たとえば、「一般消費者を騙してはいけない」「必要に応じて不動産取引のルールを説明しなければならない」ということが定められています。

不動産の売主や買主が認識しておくべきなのは、仲介手数料には上限が決まっていること。そして、仲介手数料は、決して「一般消費者から仲介手数料を徴収しなければいけない」というものではないということです。

法律で定められた仲介手数料の上限額

仲介手数料について取り決めているのは、宅建業法46条という法律です。この46条では、報酬額に関するルールを定めています。

第四十六条
宅地建物取引業者は、国土交通大臣の定める額をこえて報酬を受けてはならない。

不動産会社が受け取れる報酬、つまり仲介手数料には「上限額」が設定されており、それ以上の金額を受け取った場合は違法となります。

中には、「不動産会社に仲介手数料を払わなければいけないと法律で決まっている」と勘違いしている方もいらっしゃいます。しかし、法律で規制されているのは消費者に対してではなく、不動産会社側に対して「一定額以上受け取ってはいけない」と規制しているのです。

仲介手数料が発生するタイミングは「契約成立後」

不動産会社に仲介を依頼すると、いくつか書類にサインする機会がありますが、どのタイミングで仲介手数料は発生するのでしょうか?

仲介手数料とは、契約が成立したときに支払う「成功報酬」です。売主や買主と不動産会社との間で締結する「媒介契約」の段階では、仲介手数料は発生しません。

「成功報酬」ですから、売買契約書を交わした後が仲介手数料を支払うタイミングとなります。つまり、契約が成立するまでは、報酬を支払う必要はないということです。

仲介手数料は、「契約書を交付した後」と「決済後」に分割して支払うケースが一般的です。

法律で決められている仲介手数料の計算方法


仲介手数料は、国のルールにより「上限額」が決められていると説明しました。この上限額は、「100万円まで」などというように固定された金額ではありません。

仲介手数料の上限額は、不動産の価格によって変動します。

仲介手数の「上限額」を求める計算式

変動する上限額を算出するには、以下の計算式が用いられます。

仲介手数料の上限額

  • 売買価格200万円以下の場合=5%+消費税
  • 売買価格201万円~400万円以下=「4%+2万円」+消費税
  • 売買価格400万円以上=「3%+6万円」+消費税

このように、売買価格が高いほど仲介手数料の上限額は上がり、反対に売買価格が安いほど金額は小さくなる仕組みです。

ただ、上記の計算式で計算するのは、正直ややこしいですよね。

そこで、もっと手軽に仲介手数料の上限額を計算できるよう、以下の速算式が用いられるのが一般的です。

仲介手数料の上限額の速算式
売買金額×3%+6万円 +消費税

不動産会社は、上記の計算方法により算出された額以上の報酬を受け取ってはいけません。再三申し上げていますが、「これ以上受け取ってはいけない」という法律であって「この金額を支払わなければいけない」というわけではない点にご注意ください。

仲介手数料には消費税がかかる

上記の式で算出された仲介手数料には、消費税がかかります。

不動産会社による「仲介」が「課税対象」というのも、法律によって定められていることです。

ただし、中には仲介手数料を「消費税込み〇〇円」としている不動産会社もあるので、その場合は税込み手数料を支払えば問題ありません。

「400万円以下」の不動産の仲介手数料の上限額が改正


仲介手数料の上限額は、物件価格に応じて変動すると説明しました。つまり、取引金額が高いほど仲介手数料は高くなり、売買取引額が低いほど仲介手数料が安くなるというのが一般的です。

しかし、2018年の1月1日より、上限額の規定が一部改正されています。

その内容は、売買価格が400万円以下の場合は、仲介手数料を最大「18万円+消費税」とするもの。これを規定しているのは、「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」という法律です。

「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」とは?

「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」とは、価格が安い建物や空き家に対し、不動産会社は従来までの上限額の規定よりも少し高い仲介手数料を受け取れるという制度です。対象となるのは、「400万円以下」の建物取引に限られます。

この400万円以下の建物の取引で受け取れる報酬は、先に説明した通り、最大「18万円+消費税」です。

400万円の物件は、従来までの計算方法だとしても仲介手数料の上限額は「18万円+消費税」です。新設された制度では、物件価格が200万円だとしても300万円だとしても、仲介手数料の上限額が「18万円+消費税」となります。

ただし、この上限額を受け取れるのは売主からのみつまり、仲介手数料の上限額が従来より少し高くなるのは、以下のようなケースに限定されます。

  • 400万円以下の建物
  • 建物の売主のみ

逆にいえば、「400万円以上の建物」「土地」「買主」に、この特例は適用されません。

なぜ特例が決められたのか

この特例が制定された背景には、近年増加している空き家問題があります。

売買価格が低い物件は、法律上、多くの仲介手数料を受け取ることができません。つまり、物件価格が安い空き家は、不動産会社にとってはコスパが悪い取引だったんですね。

費用に対してコストや労力が高い空き家取引に対して、積極的に乗り出そうという不動産会社は決して多くありませんでした。しかし、空き家増加問題は、もはや一刻の予断も許されない社会問題。不動産会社に積極的に仲介してもらわなければ、空き家は増加する一方だと国は判断したわけです。

「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」は、不動産会社が受け取れる報酬を「調査費用」という名目で増やすことで、空き家流通を活性化させようという狙いがあるのです。

仲介手数料が安いことは違法ではない!


「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」においても、一般的な仲介手数料においても、法律によって定められているのはあくまで「上限額」です。

しかし、現実には上限額を当たり前のように請求している不動産会社がほとんど。上限額より仲介手数料が安くなる分には、違法ではないにも関わらず、これまでの不動産業界には、企業努力による価格競争があまり見られなかったのです。

ただ最近では、一般消費者の負担を少しでも軽減させるために、”仲介手数料無料キャンペーン””仲介手数料の定額制””キャッシュバックサービス”を提供する不動産会社が増えてきました。

ただでさえ、出費がかさむ不動産売買。このような仲介手数料割引サービスを活用して、新生活の資金に回していきましょう。

仲介手数料割引サービスの仕組みについては、下記ページで詳しく解説してます。

まとめ:法律で取り決められているのは、仲介手数料の”上限額”のみ

法律によって、仲介手数料に規定されていることをまとめます。

  • 仲介手数には上限額がある
  • 仲介手数料には消費税がかかる
  • 仲介手数無料や定額制は違法ではない

国が取り決めている仲介手数料にかかる法律は、不動産会社に対して「一定額以上の報酬は受け取ってはいけない」というもの。消費者に対して、「速算式で算出される仲介手数料を支払わなければならない」という法律はどこにもありません。

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。
監修者 亀梨奈美
監修者 亀梨奈美大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。株式会社real wave代表取締役。「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、機関紙から情報サイトまで不動産ジャンルのあらゆる文章を執筆・監修。

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