重要事項説明書とは?押印・記載事項と契約前チェックリスト

不動産売買手続きに必要な書類のひとつに「重要事項説明書」があります。 重要事項説明書とは、売買契約を結ぶにあたり確認が必要な事項を記載した書類です。売買時には宅地建物取引士による内容説明が法律で義務づけられており、不動産売買時の極めて重要な書類だといえるでしょう。 とはいえ、重要事項説明書は専門用語が多く、じっくり目を通すのも億劫になってしまうもの。そこで本記事では、重要事項説明書でチェックしておきたい10の項目を分かりやすく解説します。併せて重要事項説明に関連するトラブル事例を紹介しますので、これから売買契約を控えている方はぜひご一読ください。
この記事でわかること
  • 重要事項説明書ってなに?
  • どこに注意して読めばいいの?
  • 重要事項説明に関連して想定されるトラブルは?
イエツグくん
イエツグくん
重要事項説明は難しい用語がたくさん! でも、だからといって、よくわからないまま契約しちゃうとトラブルになっちゃう恐れもあるんだよ!
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役 不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。 保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・賃貸不動産経営管理士・外壁診断士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

結論:重要事項説明書は、契約するかどうかを判断するための物件・取引条件の確認書類です。契約当日に初めて読むのではなく、できるだけ事前に受け取り、疑問点を整理しましょう。

記載内容は物件の種類、所在地、法令、契約条件などによって変わります。「10項目を確認すれば十分」と決めつけず、説明書・販売図面・契約書・現地の状況に食い違いがないかを確認することが大切です。

この記事では、買主が確認しやすい順番でチェックポイントを整理します。法令や権利関係の判断が難しい場合は、宅地建物取引士、司法書士、自治体などへ確認してください。

国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」も、契約前の確認資料として参照できます。

重要事項説明書とは?売買契約書と何が違う?

重要事項説明書は、宅地建物取引業者が、契約の判断に影響する物件・権利・法令・契約条件などを説明するための書面です。宅地建物取引士から説明を受ける場面では、分からない言葉をそのままにせず、具体的な意味と自分の物件への影響を確認します。

売買契約書は、売買代金、引渡し、解除、違約金など、当事者の契約内容を定める書類です。重要事項説明書と売買契約書は役割が違いますが、どちらか一方だけを読めばよいわけではありません。価格、面積、設備、負担、解除条件に食い違いがないかを照合してください。

契約前にやること

  1. 重要事項説明書を事前に受け取る
  2. 分からない用語・数字・図面に印を付ける
  3. 販売図面、登記事項、管理資料、契約書案と照合する
  4. 説明当日に質問し、回答や修正内容を記録する

不動産売買の重要事項説明書で確認すべき10項目

次の項目は、すべての物件で同じ内容になるわけではありません。自分の物件に関係する項目を中心に、金額・期限・負担者・制限の有無を具体的に確認します。

1.法令上の制限・ハザード情報

用途地域、建ぺい率・容積率、都市計画、建築制限、水害ハザードマップなどを確認します。将来の建て替えや増改築、災害時の避難にも関わります。

2.土地・道路との関係

接道状況、公道・私道の別、セットバック、通行・掘削承諾、持分や負担を確認します。「道路がある」だけでなく、建築や通行にどの権利が必要かが重要です。

3.上下水道・電気・ガスなどの設備

整備状況、引込管の所有者、維持管理、加入金・工事費・負担金を確認します。私設管や浄化槽などは、誰が修繕費を負担するかまで聞きましょう。

4.敷地・地盤・境界の状態

越境、境界標、擁壁、傾斜、地盤、排水、造成履歴などを確認します。説明書だけで判断せず、現地や測量図、調査資料と照合してください。

5.建物・既存住宅の状態

建築確認、検査済証、耐震性、増改築、建物状況調査、設備の故障や修繕履歴を確認します。中古住宅では、売主の告知書や付帯設備表との一致も見ます。

6.マンションの管理・共用部分

管理費、修繕積立金、滞納、長期修繕計画、管理規約、使用細則、駐車場、ペット、専用使用権を確認します。将来の大規模修繕や値上げ予定も質問しましょう。

7.売買代金以外の費用

仲介手数料、登記費用、固定資産税等の精算、管理費等の精算、融資費用、保険、インフラ負担金などを、金額と支払時期で確認します。

8.契約解除・違約金・手付金

手付解除の期限、違約金、ローン利用特約、引渡し前の滅失・毀損、契約不適合責任の範囲と期間を確認します。「解除できる」とだけ考えず、費用と期限を書き出してください。

9.権利関係・担保・第三者の利用

所有権、抵当権、賃借権、地役権、共有持分、差押えなど、購入後に残る権利や抹消される権利を確認します。賃貸中・占有者ありの場合は、明渡し条件も重要です。

10.宅建業者の保証・書面の交付方法

供託所等の説明、保証制度、取引態様、重要事項説明書の交付方法を確認します。書面の電磁的方法を利用する場合は、閲覧・保存・印刷ができるか、承諾の方法も確認してください。

国土交通省「宅地建物取引業法 法令改正・解釈」IT重説・書面電子化の案内

重要事項説明で起こりやすい確認漏れと対策

重要事項説明は、説明を受けたという事実だけで、買主がすべてのリスクを理解したことになるわけではありません。疑問点はその場で止めて質問し、回答や修正内容を記録しましょう。

事例1.契約当日に初めて読み、質問する時間が足りない

説明書を契約当日に初めて見ると、専門用語や数字を比較する時間が足りなくなります。事前に受け取り、重要な箇所に質問を書き込んでおくと、確認漏れを減らせます。

事例2.販売図面・説明書・契約書の内容が違う

面積、設備、費用、引渡し条件などに食い違いがある場合は、契約前に修正・確認を依頼します。口頭の説明だけで済ませず、書面のどこに反映されるか確認してください。

事例3.IT重説や電子書面を利用したが、保存・閲覧ができない

IT重説は、映像・音声が十分に確認でき、双方向にやり取りできる環境で行う必要があります。電子書面は、事前に承諾方法、ファイル形式、保存・印刷方法を確認しましょう。

国土交通省「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びIT重説 実施マニュアル」

まとめ:重要事項説明書は、契約前に質問を残さないための資料

重要事項説明書は、専門家に任せきりにする書類ではありません。買主自身が生活や資金計画に関係する項目を確認し、納得してから契約するための資料です。

  • 説明書を契約前に受け取り、販売図面・契約書と照合する
  • 法令、道路、境界、災害、管理、費用、解除条件を具体的に確認する
  • 中古住宅やマンションは、調査資料・管理資料・告知書も確認する
  • IT重説・電子書面は、事前承諾・保存方法・通信環境を確認する

「よく分からないけれど、周りも契約しているから進める」は、不動産では少し勇気がありすぎます。分からない点を質問し、必要に応じて宅建士、司法書士、自治体などにも確認してから判断しましょう。

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