新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が減り、住宅ローンの返済や税金の支払いなどに苦しんでいらっしゃいませんか?
お住まいの地域によっては、定額給付金や持続化給付金が、まだ支給されていないところもあるでしょう。そこで、足りなくなったお金を工面するために、不動産担保ローンを利用するという選択肢もあります。
しかし、不動産担保ローンは“借金”に他なりません。まとまった現金が欲しいと安易に利用してしまうと、返済負担が増え、今以上に生活が苦しくなってしまうリスクがあります。とくに、昨今のように先行きが不透明なご時世での借り入れには、より慎重にならなければなないでしょう。
そこで今回は、不動産担保ローンのメリットやデメリットと、新型コロナの影響で家計が厳しいときの対処法を紹介します。
- 不動産担保ローンのメリット・デメリット
- 不動産担保ローンを借り入れるまえにとるべき対策
- withコロナ時代で資金不足を解消する方法
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
不動産担保ローンとは所有する不動産を担保にした借り入れ
不動産担保ローンとは、ご自身が所有する不動産を担保に借りられるローンです。金融機関によっては、ご自身名義の不動産だけでなく、両親や配偶者などの家族が所有している不動産や法人名義の不動産を担保にできることもあります。
不動産担保ローンの返済が滞った場合、金融機関は貸したお金と利息を回収するために、担保となる物件を競売にかけて売却します。住宅ローンも、返済が滞ると物件が競売にかけられるため、同じしくみといえますね。
では、不動産担保ローンにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?それぞれ解説していきます。
不動産担保ローンのメリット
不動産担保ローンのメリットは、以下の3点です。
- 無担保ローンよりも金利が低い
- 融資上限額が大きい
- 返済期間を長く設定できる
消費者金融や銀行カードローンなどの無担保ローンは、金利が高く設定されています。とくに初めてお金を借りる人は、14〜18%と利息制限法で定められている上限に近い値の金利が適用されるのが一般的です。
一方で不動産担保ローンの金利は、一般的に2〜9%と無担保ローンよりも低い金利で借り入れられます。
融資上限額については、無担保ローンで500万~800万円ほどですが、不動産担保ローンの場合、金融機関によっては1億円以上の借り入れも可能です。
また不動産担保ローンの返済期間は、20年や30年などの長期間に設定できます。ただし返済期間を長くすると、毎月の返済負担は減りますが、利息の合計負担額が増える点に注意しましょう。
不動産担保ローンのデメリット
一方で不動産担保ローンには、以下のようなデメリットがあります。
- 返済できなくなると物件を競売にかけられる
- 担保となる不動産の価値が入念に審査されるため融資までに時間がかかる
- 事務手数料や不動産鑑定費用、印紙代などの諸費用がかかる
不動産担保ローンは、自宅を担保に設定するケースも多く、返済できなくなると住んでいる家を競売にかけられて、失ってしまうリスクがあるのです。
また融資の実行までに時間がかかるため、すぐにお金を用意できません。加えて諸費用の支払いによって、手元に残っているお金を減らしてしまいます。
以上の点から不動産担保ローンは、返済計画を入念に立てることなく借り入れると、余計に家計が苦しくなる可能性があるのです。
コロナによる資金難で取れる不動産担保ローン以外の対策
コロナによる収入減、資金難にお困りのときは、真っ先に不動産担保ローンを利用するのではなく、以下の方法で対策できないか検討してみてください。
- 住民税や固定資産税の支払いを猶予してもらう
- 給付金や助成金、貸付制度を利用する
- 住宅ローンの返済が厳しい人は金融機関に相談する
税金の支払いを滞納すると、最悪の場合、給与や自宅を差し押さえられかねません。すでに納付期限が過ぎている税金も、遡って支払いを猶予してもらえる場合があるため、お住まいの自治体に相談してみましょう。
また所定の要件を満たすと、給付金や助成金、貸付制度を利用できる場合があります。地方自治体が独自に行っている事業もあるため、一度お住まいの自治体が実施している救援策を確認してみてください。
ただし2020年7月現在で、すでに申請が終了している制度もあります。申請受付中の制度も、いつ終了するかわかりません。そのため利用できそうな制度は、早めに申請しましょう。
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住宅ローンの返済が厳しい人は、金融機関に相談すると返済額の見直しや返済期間の延長などを実施してくれる可能性があります。
ただし住宅ローンの返済が滞ってしまい、物件が競売にかけられる段階で相談しても遅いです。住宅ローン返済の滞納は絶対に避け、手遅れになるまえに金融機関に相談しましょう。
それでも厳しい場合は不動産の売却や住み替えといった選択を
給付金の受給や住宅ローンのリスケジュールは、根本的な解決ではなく、あくまで一時的な対策です。住宅ローンの返済を滞納すると、自宅は競売にかけられて、相場の6〜7割の価格で売却されてしまいます。
自宅が競売にかけられると、住む場所を失うだけでなく、ローンの残債に負われる状態となります。そのため自宅を競売にかけられた方の中には、自己破産されている方もいるのです。
ローンの返済が難しく、今後もその状態が続く可能性の高い方は、手遅れになるまえに賃貸物件への引っ越しや、価格の安い物件への住み替えを検討してみましょう。
賃貸物件に住み替えると、固定資産税がかからなくなるだけでなく、居住費を抑えられるかもしれません。また、価格の安い物件に住み替えて毎月の返済負担を下げると、家計の収支が改善されて生活が楽になります。
自宅は、ご自身や家族の生活において欠かせないものです。自宅の売却を即決できる人は、ほとんどいません。しかし今後も経済的な不安が続くのであれば、住宅を売却して少しでも返済負担や税負担が下がる選択をしてみてはいかがでしょうか。
売却や住み替えをする際の注意点
自宅の売却後に住宅ローンの残債が発生する場合、住み替えローンの利用によって返済負担が増えてしまう可能性があります。
住み替えローンとは物件の売却によって住宅ローンの残債が生じた場合に、新居の購入費用とまとめて借り入れできるローン
そのため住み替える際は、入念に資金計画を立てることが大切です。
また住み替え後のローンの完済年齢は、65歳までに設定しましょう。ローンの完済年齢を70歳や80歳など、定年後の年齢にすると、今度は老後の生活が苦しくなるためです。
すでに住宅ローンを滞納してしまい、金融機関から一括返済を求められている場合は、任意売却をする方法があります。任意売却では、競売にかけられるまえに、自宅を相場に近い価格で売却可能です。
任意売却には、住宅ローンを借り入れている金融機関からの承認が必要です。承認を得るためには、任意売却に対応した不動産会社に交渉してもらわなければなりません。
任意売却できるのは、滞納した住宅ローンを保証会社が金融機関に代位弁済してから、競売が開札されるまでの約半年間です。この期間を過ぎると任意売却できないため、早めに不動産会社に相談しましょう。
まとめ:コロナ禍で不動産担保ローンを借り入れる際は慎重な判断を
収入が低下し、住宅ローンの返済や税金の支払いなどが厳しくなったとしても、不動産担保ローンの利用は慎重に検討しましょう。税金の支払い猶予制度や給付金・助成金の利用、住宅ローンを借り入れた金融機関への相談が優先です。
ただし支払いの猶予や給付金の利用、金融機関への相談は、一時的な救援策にしかなりません。今後も経済的に不安な状況が続く可能性がある場合は、自宅を売却するのも一つの方法です。
もしご自身にとって、有効な対策が分からない場合は、早めに弊社イエツグまでご相談ください。イエツグには、お金のプロフェッショナルであるファイナンシャルプランナーが在籍しており、あなたにとって最善の策を一緒に考えます。
またイエツグの仲介手数料は、定額制の182,900円。一般的な仲介手数料である「物件価格 ×3%+6万円」と異なり、物件が高額でも売却時の諸費用が増える心配はありません。
さらにイエツグでは、任意売却のご相談も承っております。さまざまな選択肢の中から、ご自身に最適な方法を見つけたい方は、弊社までお気軽にご相談ください。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。